南三陸へ

いろいろ雑事が立て込んでるので今日しかない、と思ってエイヤッと気合を入れて南三陸へ。

昨夜、明日行こう、と決心して夜9時半、「寝てるんじゃないかなあ」と思いつつけいこさんに電話をしたら、やっぱり

寝てた。後で聞いたら翌日北海道からホタテの稚貝が到着するので3時起きだったそうで、起こしてごめんね。

けいこさん。

 

ひと月ぶりに見る南三陸志津川は、更に凄いことになってた。なんと形容したらいいのか。全国的に見てもこういう

景色は想像できないと思うので説明し難いんだけれど、自分の視野全部が巨大な工事現場。それ以外は見えない

という風景。巨大な工事現場の中にうねうねと道が作られていて、その道通りに進むというのか進まされる構図で、

全てが工事現場。それ以外の余白の土地や店がないので、ちょっと留まって道を探すというのはできません。

おかげで普段より15分くらい早く着きました。いいんだか悪いんだか。

都市を作るというのか町を作るというのか、長いこと生きてきて初めて見る光景です。

 

けいこさん宅で居合わせたお父さんから聞いた話。

明日は北海道からホタテが来る日。ホタテが着いたらすぐに家族も手伝ってくれる人も総出でホタテの稚貝に

穴を開け1本のロープに2個づつ30箇所に止めつける。総数60個をくっつけたロープは海の中に15メートル

吊るす。海の深さは深いところで30メーターくらい。そしてそのまま来年のホタテの時期まで待ったら、成長

して大きなホタテになる。ホタテの代金はウン十万円だが、収穫したらほぼ3倍。手間考えたら収益としては

いいもんじゃない。

ウニ、あわびはカイコウ(どんな字か解らない)の日に、それぞれ自分の船で思い思いの場所に行って獲る。

目がいい人や、場所が良かったりする場合にはたくさん獲れたりするが、獲れないこともある。

「おじいさんは負けん気が強かったからいっぱい獲った。自分が獲った後も人を助けに行ったりしてた。」

とはおばあさんの話。

 

「たった今到着したの」とボランティアさんがやってきました。

震災後から南三陸に来てわかめ養殖の仕事を手伝うようになった、という川崎在住の若い娘さん。

明日のホタテの仕事を手伝ったら、明日のうちに夜行バスで川崎に戻るそうです。

春になったらまたわかめの仕事を手伝いにくる、ということですが、なんでまたこんな寒い時期にそんな短い時間

なのに夜行バスに乗ってはるばる南三陸までやってくるのか。

きっと「心の洗濯」に来るのでしょう。疲れた心のリフレッシュかな。

60年間、都会で生きてきた私には、彼女の気持ちが解るような気がします。

「東北の人は優しいからね。いっそここに住み着いたら?」

「言われます。でも寒そうー」

言えてる。でも川崎も冬はからッ風が吹いて寒いよ。

 

お父さんは明日のホタテの準備に、けいこさんは吠え立てるマックの散歩に。おばあさんと娘さんに送られて

車に新聞バッグを満載にして帰ってきました。

また明日から検品作業。そして正月用お餅搗きも開始、連続忘年会。

風邪ひかないようにしよう。