菊と直売所とロボットの夏

夏休みが終わりました。
実に忙しい夏だった。

まずロボットその後。
宮城大会で優勝したのはいいけれど、その後は練習練習練習の日々。
前から予定していた夏休みのお楽しみの旅行などは完全にできなくなって、
宿題をやり終えるのがやっと。

全国大会は宮城大会で競技したプログラミングとはまったく違って、新しい
プログラミングを決められた日までに提出しなければならず、またロボットも
現地で時間を与えられての組み立て、という地区大会とは違う苦労を味わう
ことになりました。

離れ離れに住むチームメンバーが仙台に集まっての練習は、親子ともども
かなりの負担であり、またロボット人口が低い宮城から強豪が揃う全国大会に
出場というのはかなりハードルが高い挑戦。それでも勝利を諦めずチームを
壊さず、大会会場の神戸に遠征して今日帰ってきました。

さすがに全国の壁は厚く、入賞には至らず、世界大会会場のハンガリーに行く
夢は潰えたけれど、東北とは全く熱量の違う全国大会に出場できたことだけ
でも本当に得難い経験をさせてもらいました。来年はカナダだそうでまた新しい夢が見られそう。

この春に借り手が撤退した我が家の近所の農産物直売所を仲間4人で借りて
直売所を始めることにしました。隣りは食堂で歴史的には10年以上前からある
のだけれど、食堂の経営者でもある直売所の家主さんが直売所運営をやめて
からかなりの時が経ちます。

花だけはお願いして置かせてもらっていたのだけれど、直売所となれば花以外
にも何かを売らなければ家賃が払えない。とはいうものの当面は売るものが
なく、2年前から続けている洋裁、機織り教室の先生にお願いして、手作りの
婦人服や布の小物さなどを置いてもらってスタート。
店番は私。

と、ついでだから洋裁、機織り教室も移動させ、以前から続けていたリー先生
の英会話クラスもここでやることにしました。

お客さんは来ません。見事に。でも暑くなってアイス類やジュース、お菓子や
ラーメンなど揃え、仲間の由美さんの野菜もできて洋裁や機織りの生徒さんが
がやがやするようになると、「何やってるんですか」と覗きに来る人が増えて
きました。草刈り部隊にトラックの運転手さんたち、保育園帰りにアイスを買い
に来る親子づれさん等々。とともに「ズボンの裾上げは」など、考えたことも
ないニーズが増えてきた。

地域の直売所ってこんなものだったんだ。言うなら地域の便利屋さんなんだ、
と得心。
コーヒー置いてほしい、という人もいて、思案中です。

そして花。これはもう今も忙しさが続いています。
もうずいぶん離れていた花栽培を今年の春から始めて、最初のお盆。
毎日毎日菊に追われて、直売所で花に埋まる日々。
注文を受けて、花を切って結束して配達に行き、直売所に戻って花を売ると
いう多忙な日々となりました。地域の中でもまだ顔を見たことがない方々が
「あら、こんなところでお盆の花売ってるのぉ」と寄ってくれるのが嬉しい。

菊に埋もれてロスアンジェルスタイムズで新聞バッグを折る黒田さん。

私が花束を作る間は店番してくれて大変助かりました。
畑に花がある間は忙しさが続くけれど、でももう高い空に秋の気配を
感じます。
次はお彼岸。お彼岸が終わると菊は一段落。
花と直売所と洋裁とロボットの夏が過ぎようとしています。

砂像(サンドクラフト in みたね2019)

松さんはしまんとの新聞バッグのインストラクター。
数年前に黒田さんが松さんを我が家に連れて来た時に初めて会いました。高知県出身で海辺の砂に像を作るために、あちらこちらの砂浜を巡っている。その途上で宮城に寄った、とのことで、雪像ならぬ砂で像を掘る人がいるのかと驚き興味を惹かれました。

まだその頃は砂像彫刻家としての道筋はさほど松さんの中で決まってないよう
に見えたのですが、今年の5月にフェイスブックで松さんが掘った砂の犬を見て
驚愕。

秋田の砂で彫った秋田犬、これがほんとに砂で作られた犬?
まるで生きてるような、、。
賢そうで素直そうな眼。「どこ見てるの?」と問いかけたいような。
自分が犬が好きなせいもあるけれど、完全に魅せられました。

忘れられないでいるところに、この春の三種からフィンランドに渡り、そこのコンペで3位。その後アメリカのロスアンッジェルスに移動して砂像を彫り、その後はカナダでのコンペで4位を受賞した松さんが再度秋田の三種町で砂を彫ると聞いて(サンドクラフト in みたね)、これはどうしても今見ておかなければと、南相馬の上条さんを誘って秋田に向かいました。

秋田県の三種町まではなかなか遠い。
男鹿半島の北に位置する町で、我が家からはほぼ3時間。南相馬から来る上条
さんにはさらに3時間プラスの超遠距離ドライブ。

あっちに寄ったりこっちに寄ったりしながら延々延々と走ってようやく辿り着いた先は、想像とは全く違ってた。広い広ーい海辺、その先は日本海、見晴るかす彼方まで立ち並ぶのは大小の風車、(これだけの風車があるということは、風が強いとこなんだね、ここは)、風車の下には色とりどりのアウトドアテントが張られていて、水着を着たりバーベキューをやったりと夏の海辺を楽しむ人々がいっぱい。

秋田県にこんなとことがあるの!  もう外国みたいな光景。

ここには温泉も湧いていて、その名も砂丘温泉。今夜はそこに泊まります。
砂地の農業が盛んのようで、立ち寄った道の駅の野菜は安価で山盛り。通り
過ぎる道沿いの畑には採り残されたメロンがごろごろ。

秋田県は学業優秀の町。というのは私たち東北に住む者には常識みたいなものだけれど、雪深く寂しいイメージが強い秋田県の海辺に、こんなに明るくて海が美しい日本じゃないような風景があるなんて、全く知りませんでした。

そして初めて見る憧れの砂像は、、、。

高さ3メートル。砂を積み上げ彫り上げられた砂像。
ダイナミック! 他では見られない光景!

海を背に立ち並ぶ大きい砂像は招待された砂像製作者の作品。その他にも砂浜には一般の人や子供や学生が彫った作品も居並んでいて、これもまた素晴らしくひとつひとつ見歩くのが楽しい。土地に溶け込んだ砂の彫刻。

松さんの砂像を見つけました。
松さんが1週間かけて制作に取り組んだ作品は少女の像でした。
秋田犬の目にも驚いたけど、この少女もまた柔らかく優しい表情をしています。
ひとつ間違えば崩れ落ちるかもしれない砂の彫刻を、どんな気持ちで彫っていくんだろう。

長い1日が終わり海の色も空の色も砂像も夕焼け色一色

日没の日本海。ほんとうにきれい。

日が沈んだ後にはさまざまなパフォーマンスがあり、オープニング当日の夜には花火が上がります。

砂像の下の砂に座って見上げる花火は圧巻。空から花火が落ちてきそう。

秋田犬の目に惹かれて出かけてきた三種町釜谷浜海水浴場。サンドクラフト会場でしたが、忘れられない場所、忘れられない夜になりました。
この砂像を作るイベントは今年で23年目だとのこと。なぜ23年間も続いているかというと、砂がいいからだそうです。これほどの大きなそして芸術的で素晴らしい砂像のお祭りが東北の人たちにさえ全く知られていないなんて、ほんとうに勿体無い。帰ったら宣伝に努めます。そして来年も必ず来ます。

砂像を作った松さんと3人で枕を並べてたくさんお話をした翌日は、せっかく秋田まで来たのだからとさらに北上して白神山地へ。
白髪山は準備がないと登れないと知り、登るのを諦めて太平洋側に進み、かつては小坂鉱山の鉱山資源で栄えた小坂町へ。前に一度来た時に町中溢れんばかりのニセアカシアの木に驚きましたが、小坂鉱山の噴煙で周囲の山の木が全て枯れてしまい、アカシア300万本を植えてアカシアの町になったのだと知りました。

小坂町の重要文化材、日本最古の芝居小屋「廉楽館」で常打ち公演を観て、今回の秋田訪問を終わりにし、また延々延々と戻ってきました。

遠かったけど砂像は素晴らしかった。
是非たくさんの人に行ってもらいたい。
行ってもらいたいので、たくさん写真を載せました。

ロボット

前のブログを書いてから1週間くらいの間に、よっちゃん農場よっちゃん
夫妻が航空会社エイベックスの機内誌に載ったりして新しいニュースの
タネはつきません。
が、その話はまたこの次に。

 

今日は小5の孫の夏休みの最大課題であるWRO世界ロボット競技会当日
でした。
彼がロボットを始めたのは2年前。ここ都会から離れた田舎から仙台の
ロボットスクールまで通って3年目。

昨年と今年の春のロボットスクールの東北大会では優勝して東京の全国大会へ。
さすが東京まで行けばロボット強豪も多く、苦戦の涙を飲みました。
昨年のWRO大会ではタイ人のT君とチームを組んで、第2位と3位の賞を
獲得。そして今回はWRO2回目の参加です。

夏休みに入ると、宿題はさることながら、旅行や自由研究などの夏休み
恒例事業は後回しにして、日々ロボットの練習。
祖母の私はこの小さなマシンの、どこをどうしてどうなったら動くのか
皆目見当もつかないけれど、彼によればプログラミンングで動くのだそうな。

夏休みに入ってからしばらくは家での練習。大会に近づくと仙台に行く
回数も増え、最後は仙台合宿をして今日を迎えました。

まるでロボット甲子園。試合を観に行く私は高校球児のばあちゃんの心境。


で、こういうポスター。

この試合を勝ち抜いたら全国大会の出場資格を得、満々万が一そこも通過
したら世界大会はハンガリーなんですと。
行きたい、ハンガリー。

試合開始は2時。
車検時間が終わって試合開始が近づくにつれ、我が緊張感は増し、じっとして
いられません。ロボットが動くのは見えないけれど、動く様子は大スクリーン
に映し出されます。正直見えても何がどうなってるのかほぼ解らない。
けれどロボット走行の時間が30秒だということはわかった。

何組かが終わって孫チームの番。緊張しながら見守るなか、何かがうまく
いかなくて30秒は終わった。らしい、、、。
あーあ、泣いてる。なんと言葉をかけよう。
しかしなんとシビアな試合なんでしょうか。ちょっと外れてもずれても
ダメなのらしい。それも手で動かすのではなくてプログラミングした操作
で動かすのだから半端な難しさではないのでしょう、きっと。

これは第1回目で第2回目があるということだけれど、時間もかかりそうだし、
うまくいかなかったら胸が潰れそうだし、先に帰ることにしました。
あとは残る娘からのメール待ち。

夕方遅くなってもう競技も終了する頃に娘から連絡は、

なんと信じられないことに「優勝」だって!!

えーーーっ。嘘みたいだけど、ほんとに良かった。

全国大会は8月の終わりに神戸で。夏休み、忙しくなってきました。
全国大会に挑戦するためにはT君とチーム力をあげ、行く準備もしなければ
だけれど、T君のお父さんは英語しかしゃべらない。
問題はいっぱいありますが、でもこうして負ければ悔しくて涙が止まらない
ほど真剣にロボットと向き合う夏休みの時間は、きっと彼らにとても
貴重な思い出を残すと思う。

がんばれ、T &Tチーム!