もう昔の話になるけれど、亡くなった夫が50歳少し前に、大学卒業以来勤めてきた会社でリストラされるという
状況になりました。まだリストラとか従業員削減なんて言葉が少ない時代で、いわばリストラのハシリ。
外資でコンピューターでそれまでの30年間のバブル時代の先端を走っているという会社だったから、経営が
危なそうだと思ったら即リストラ、ということだったのだろうけれど、うちの夫は年齢的に第1回目のリストラに
ひっかかりました。削減数は1500名。かなりの大規模。
寝耳に水というかまだ周りの会社ではリストラなんぞやってない時代だったから、さてどうするか。
子供らはまだ高校、これから大学などでお金が要る時期。といって去るも地獄、残るも地獄のような・・。
その時に二人で話した言葉を今も思い出します。
物事大体ひとサイクルで50年くらいだろう。
日本にコンピューターが持ち込まれて30年。その頃に入社して、走りに走って登り詰めたら必ず下りに入る
時がくる。今はその時じゃないだろうか。ならば下降の足を引っ張っるよりも辞めたほうが、会社にとっても社員
にとっても早く再生できるときがくる。ということで「撤退」と決定。
今そのことを思い出すのは、よっちゃん農場ブログを読んでいて、よっちゃんが炭焼き師匠のじいちゃんから聞いた
「世の中ずーっと変わり続けるもんではなくて、おらの経験からすると50年サイクルくらいで戻ってくる」という言葉。
あの時私もじいちゃんと同じで迷う夫に「50年くらいで1周だと思うよ」と確かにそう言った覚えがあるのですが、
それから20年ほど生きた今、何か違ってしまったような・・。今夫にそんなことがあって、「50年」って言えるのか
というと全然言えない気がするのです。 今は先が読めなくなってしまっている。
人が機械やその他の人本来の5感に頼る暮らしをしなくなってから、サイクルも狂ってしまったような。そんな気が
この頃しきりにします。
倉本聰氏が「昭和の遺言」という新しい本を出されるようです。
来年の春にはこの岩出山で倉本先生の「屋根」というお芝居が上演されますが、「屋根」は倉本先生がお書きに
なったドラマ「北の国から」の主人公、黒板五郎さんのおじいさんの頃の物語り。
新聞バッグがご縁で富良野とお近づきになって、倉本聰氏の現在のお仕事ぶりを見聞きすることが多くなりました
が、先生がなさるお仕事のどれをとっても、先が見えなくなった現代への先生からの強いメッセージ、、80歳になら
れた先生からの遺言のように聞こえます。
何事も最初はそんなつもりではないことから始まることが多いのですが、この舞台公演も最初はそんなつもりでは
なかったことが実現し、実現することからまた新しい展開につながるのではないか、とそんなことをぼんやり考え
ます。
今年の冬は大規模エルニーニョで暖冬とか。大雪も大変だけれど、冬に大雨なんて降ったらほんとに大事で
秋の大雨で上の崖が崩れてから本気で雨が怖くなりました。土砂崩れの修復もまだ道半ば。
ほんとに倉本先生のメッセージのようなことを真剣に考えなければ先はもっともっと大変なことになる。
昨日、今日、12月に入っているというのにうんと寒くて大雨。ざあざあと降る雨音を聞きながらそんなことを
考えています。