7月24日。ついに、鳥海山登山の日。
空模様は残念ながら雨。それも大洪水であちこちの町で被害が出るほどの大降雨。
でも標高の高い山ではもしかすると晴れるというまではいかないまでも、曇りくらいなら
期待できるかもしれないと決行することになりました。
新潟からやってくるリーダーの高田さんは、既に前日から鳥海山の登山口、鉾立駐車場に
いて、登山ルートの確認や雨で登れない場合に行く場所の選定などいろいろやってくれている
様子。本当にありがたく安心です。
早朝5時起きで朝食用サンドイッチを制作後、待ち合わせ場所の鳴子温泉駐車場へ行ったらば、
なんと同行者が1人増えていてびっくり。。リー先生の友達のブラッドリー君で、同行するのも
アメリカ人なのも構わないけれど、とても山に登るとは言えないティーシャツ、短パンの軽装。
どうするんだろう。寒いだろう、と心配しながら出発。
同行は、リーダーに高田さん、パーシモンのマスター、土屋さん、チヨさん、に私は60代、70代。
若手は鳴子で温泉研究中の野田さん、地域起こし協力隊員オサム君にブランデン・リー君に
ブラッド君。で20代、30代、40代。
道中はずーっと雨。
秋田県に入ると少し小雨模様になり、これなら登れるかもしれないと淡い期待を持ちながら
2時間半ほどで鳥海山象潟コース登山口、鉾立駐車場に到着。
嬉しいことに、先日栗駒山山行にご一緒した鹿野さんが来てくださってました。
障害者登山のサポートをなさる鹿野さんは、前日山梨県の大菩薩峠にサポート登山をした後、
いったん新潟に戻って鳥海山まで来てくださったとのこと。ほんとうに懐かしく嬉しいことです。
雨にけぶる鉾立駐車場。鳥海山5合目、標高1150m。
駐車場には山荘がふたつと、ビジターセンターがあり、ビジターセンターには鳥海山に魅せられて
200回以上登ったという高田さんが撮った写真が常設展示されているとのこと。
山を下りてから見に行きます。
小降りになったり本降りになったりしながら雨は止まず。
でもせっかく来たので全員雨具着用、ブラッドには寄せ集めの衣類を着せて、登山開始。
登山道沿いに本来なら見えるはずの奈曽渓谷は何も見えず、視界ゼロ。
夏の花はもう終っていて、登山道脇で目立つのは鮮やかなオレンジ色のクルマユリくらいで
あとは緑々の夏山そのもの。1時間登れば(私の足では1・5時間)賽の河原の草原でニッコウキスゲの
群落が見られるそうだけれど、雨で動きが悪いのと、私のような超シニアが足を引っ張るので、一行
なかなか進みません。
40分ほど登ったところで、「これ以上登っても雨が止みそうにないので下山」と高田リーダーから指令。
まあねえ、進みたい気持ちはあるのだけれど、、雨に濡れながら6合目まで登ったところで花の群落
や眼下の日本海が見られるわけではないので、「ただ登る」という行為だけになるのも悔しいことです。
私のような年寄りがいなかったら、若い人たちはもっと先に行けただろうに、本当に申し訳ない。
とは思うのだけれど、でも止めようとは思わないので、若い人たち、ごめんなさい。
迷惑かけても遅くても、行く気満々は変わりません。
下りの途中、突然視界が明るくなり、何本もの白い谷筋を見せて奈曽渓谷が姿を現しました。
これぞ本当に東北の山らしい佇まい。裾野を日本海まで広げる独立峰、鳥海山は東北で一番
高い、どこから見ても姿が美しい山です。
いくつの時だったか、50歳代で私はこの奈曽渓谷を眼下に見ながらこの登山道を登り、鳥海湖を廻って
頂上まで行かずに下山したはずですが、見事になーーんにも覚えていない。
傘をさすほどの雨の中、山荘で昼食タイム。
面白いね。みんなそれぞれにラーメン作ったり、お握り食べたり、お国柄でパン食べたり。
食事後は、高田さんの写真を見にビジターセンターへ。
春も夏も秋も冬も朝も夕方も雪の日も、その一番美しい一瞬を写し撮ろうと、鳥海山のあちこち
でその時を待つ高田さんの心が感じられるような数々の写真を見せていただきました。
そして山に登れなかった代わりに、高田さんの案内で、鳥海山麓中島台獅子が鼻湿原へ。
出つぼ(別名熊の水飲み場)といわれる湧水池4ヶ所から湧き出た水が、約16ヘクタールの湿原
を形成する獅子が鼻湿原は、私の目から見ると水の湿原!
長年山に登って尾瀬やその他の低山、高山の湿原を数々見て来ましたが、これほど水が美しい
湿原に入るのは初めてでした。
大きな大きな奇形ブナがあちこちで見られるブナの原生林は実に美しく、日本一幹が太い「あがりこ
大王」と名づけられた奇形ブナの木や、湧き水が白い水煙を立てて流れる渓流や、見どころはたくさん
あるのですが、私はとにかく湧水の上を歩いているようなこのブナ原生林の水に惹き付けられました。
大きな大きなブナは水をはらんで、途中で切ったらどっと水が吹き出るのではないかと・・・・。
遊歩道の最奥に何百年かどっしりと構えて生きてきた日本一にブナの大木「あがりこ大王」。
「あがりこ大王」の前でアメリカ二人。
雨は止まなかったけれど、ほんとうに楽しい鳥海山行でした。
獅子が鼻湿原を出て、鳥海温泉で休憩。温泉に入って汗を流し、庄内でとんかつを食べ、また
2時間半走って鳴子に戻り、今日1日の行程が終わりました。
ほんとうに楽しかった。
鳥海山行リベンジは9月終りの予定。
メンバー全員元気でまた一緒に行けたら最高です。
この歳で、この歳だから感じられるのですが、ほんとうにやりたいことがやれる、ってどんなに元気が出る
ものか。そしてもうできないだろう、と思っていたことが、人に助けられてやれるって、どんなに幸せな
ことか。いろんなことがもうできない、と思ってしまう今だからこそよく解ります。
そう考えると体が不自由な方や目が見えない方をサポートしながら登山をなさっている鹿野さんは、様々
なことができないと諦めている方を、どれほど元気つけられていることか。
高田さんを通じてお逢いできたこと、ほんとうによかったと思います。
9月末まで2ヶ月。
昨日も今日も、足跡印の万歩計を見ながら、1日4キロ歩きます。