この夏、台湾に行った時に、最後の夜にタイペイ・アイを観ました。
「台北戯棚」。中国の伝統ある芸能、京劇です。夜8時くらいまでに劇場に行って8時半開演、9時半終了という
スケジュール。暑い中を1日中ふらふら見物に出歩いた後の観劇はけっこう体力的にきつくて、娘に誘って
もらったものの最初は気乗りがしませんでした。
「伝統ある芸能なんだけれど、存続し続けていくことはけっこう大変で、いろいろ続けるための努力をしている。
ということだったから、行ってみようと思ったのよ」
後で娘にそう聞きましたが、開演前のロビーでは役者さんが京劇独特の顔を真っ白に塗る化粧をする姿を見せる
コーナーがあったり、二胡を弾く娘さんが座っていたり、演し物のお人形を見せたり、等々お客が楽しめるように趣向
が凝らしてありました。
今日の演目は西遊記。最初に出てきたのは孫悟空一行を騙そうとする妖怪が姿を変えた村娘。顔も頭の飾り物も
衣装もきれいで絢爛豪華。猪八戒も沙悟浄も三蔵法師様もわかり易くて華やか。
ミャーミャーと聞こえる京劇独特の抑揚ある節回しの言葉は、舞台脇の電光板に韓国語、英語、日本語で翻訳文
が表示され、舞台で何をやっているのか解るようになっています。私たち日本人も前の座席にずらりと5人家族で
並んでいる西洋人もそれなりに解る。
昼間の疲れと眠気で機嫌悪く、「ばーちゃんが帰るなら僕も帰る」と言っていた孫が、舞台が始まったとたんに口は
あんぐり、眼は釘付け。始まる前にちょっとだけ「孫悟空」の物語りの解説をやってたから、孫悟空と猪八戒や沙悟
浄の区別はつくようで、分身の術で3匹になった孫悟空に驚き、「なんで3匹もいるのか」訳が解らぬ様子。それなり
に熱心に観てました。こういう姿を見れば、もう1回舞台を見せてやりたいなあ、と思うのです。
観終わってからの私の感想。「見てよかったー!」
そういうことです。来た時とは全然違う。時代が進む毎に見る人が少なくなる伝統芸能。これを続けるということは、
魅力ある舞台を作ること。舞台だけではなく運営のための努力も怠れない。大変なことなんだなあ、と思いました。
またの機会があれば、中国でも台湾でも本場で違う演目も是非見てみたい。
連れてきてもらって感謝です。
来年の春にこの町の小さな公民館で、倉本聰脚本、演出の舞台「屋根」が上演されます。そのプロモーションDVDを
今日見ました。見終えて言葉が出なかった。やっぱり舞台は理屈で語るものではなくて観てなんぼのものなんだと
実感。こういう演劇を毎年作り続け、観客に見てもらい続けるということは実に力が要る、大変なことなんだ、と富良
演劇GROUPの方々とお会いする度に感じます。
最初は全国で上演される倉本聰氏の演劇を自分の町で見れたらいいなあ、というくらいのシンプルな願望だったの
が、時々観ることができることにするにはどうしたらいいんだろう、と妄想が広がっていきます。
俳優さんたちがプロデュースするコミュニケーションのワークショップのあるんだそうです。
聞くとか話すとか表現するとか演技指導だとか、今の時代の日本人にとってはなかなか身に付かないコミュニケー
ションのプログラム。子供や先生、社会人、企業向けにもプログラムがあるのだと聞いて、俄かに興味が湧きまし
た。富良野では修学旅行で取り入れる学校が多いそうです。
自分が受けてみたい、と私は思うんだけれど、あちこち声をかければ、私もやりたい、、という人もいるかも・・・・・。