倉本先生の「走る」を観るために、厳寒の富良野に行ってきました。
冬の北海道に行く時は、空模様だけが気がかりですが、案の定空港に着くと、こっちは晴れでも
新千歳が雪(だけではなく後でJALの事故があった、と知ることになる)で大幅遅延。
2時間近く遅れて無事新千歳空港着。昼食を終え、かろうじてホテル直行のスキーバスに間に合い、
一路富良野へ。雪で遅延の割には千歳地方、気温は高め。
「なんだ、このくらいか。もっと驚くほど雪が多くて寒いほうがよかった」と冬の北海道初めてのよっちゃん
がうそぶいています。
昨年1月の富良野行きと同様、空港もスキーバスのお客もファミリーの外国人だらけ。東洋人の
顔は少なくほとんどが西欧系の方々で、日本人の休暇の取り方との違いを実感させられます。
新千歳から1時間ほどは、自分の車でも走れるような路面状況、途中休憩の道の駅占冠から先は
白く凍てつく北の大地に様子が変わり、そこをバスはばんばん進んで行きます。
新プリンスホテル到着後、すぐに連絡しておいた喫茶「くるみ割り」の浦田さんから連絡が入り、
今日は浦田氏もおられ、幸運なことに「くるみ割り」を会場にして、できればお会いしたいと願っていた
木のお人形作家、高木誠さんの個展が開かれているというので、タクシーで富良野の町へ。
これも書いておきたいのだけれど、タクシーの運転手さんは女性の野原さん。
なぜかこの先、タクシーを呼ぶ度に野原さんとお会いすることになります。
野原さんのお父さんは馬橇を持っていた方で、馬とともに育った野原さんのお話はひと昔前の
北海道の暮らしを彷彿をさせ、実に面白い。馬に興味があるよっちゃんは大興奮で質問を浴びせます。
秋に来た時にはお忙しくでお会いできなかった浦田氏は、富良野の町に「暮らしのステーション」を設立
して町つくりの活動をなさる傍ら、、ラベンダーの専門家でもいらっしゃるので、岩出山に苗を購入するに
あたり大変お世話になりました。奥様のみや子さんには最初に新聞バッグで来た時からお世話になりっぱなしです。
そして木のお人形を作る高木さん。
前回初めてお会いしてそのピュアーな人柄に完全に魅せられ、またお会いしたいと切望していましたが、
ここで憧れの妖精のお人形に会えるとは思いもしませんでした。
高木さんの作品は新プリンスホテルのロビーに「森の楽団」木の人形のオーケストラ、として展示され、
ニングルテラスのショップ「森の楽団」では仲間の方の作品が販売されています。
妖精のお人形とは、高木さんの心の中から生み出される、木と植物のみで作られた可愛らしかったり、怖い
ようなお顔の妖精人形。精巧な楽器で音楽を奏でていますが、体も眼も髪の毛の全てが植物。
比類のないお人形の姿の写真をUPしたいのだけれど、最後の夜、テンションが上がり過ぎた居酒屋で、
カメラを忘れてきてしまったので載せられないのがホント残念。
ほぼ全てに赤丸がついた中で3個残った作品から選んで、1個購入しました。娘へのお土産、家宝にします。
前に伝えはしたけど、さほどピンと来ていなかったらしいよっちゃんは部屋中に並ぶお人形と高木さんに
心から圧倒されたらしく、釘付け状態。本当に来てよかった、見て会えてよかった、の時間でした。
夜は浦田さんに紹介されて50年の歴史を持つ、へそ歓楽街の居酒屋「炉ばた」へ。
細い路地には大きな赤提灯が下がり、正しい居酒屋の風情。中に入るとほぼ枡型のようなカウンターの真ん中
には炭火の炉に柄杓で熱燗の酒をくみ出す大きな土瓶がかかり、粋で丹精な顔立ちのご主人が注文を
とってくれます。演歌が聞こえて今にも暖簾を分けて黒板五郎さんが入って来そうな雰囲気。何を食べても
大変に美味しい。
なのですが、なぜか最初にいた日本人のお客さんが退出すると、どんどんどんどん西欧人のおじさんたち
ばかりが増えて、ついには20人ほどのお客の全てが私たち4人を除いて図体の大きな英語を話すおじさんたち
一色となってしまいました。
これは一体どういうこと?
なんで外国人がこんな居酒屋に来るのか。ここに住んでいる人たちか。それともスキー旅行の外国人?
ついに好奇心を抑えきれず、よっちゃんの隣りに座る外国人おじさんに「どうしてこの居酒屋を見つけたの?」
と質問開始。
なんと彼ら7、8人おじさんグループは、スエーデンから富良野にスキーに来たとのこと。
普段から日本食レストランで日本食を食べているので箸使いは上手。ほとんどみな50歳くらいで、富良野には
スキーをしに来た、居酒屋は調べて見つけた、スエーデンの自宅から富良野まで25時間かかった、
等々、スエーデンのおじさんたちの休暇の楽しみ方に感心したり、羨んだり。
どれもこれも美味しくてたらふく食べ、よっちゃん、みっちゃんは土瓶酒で酔っ払い、冷え込む富良野の第一夜
は楽しく過ぎていきました。