新聞バッグから世界が見える

庭の木。山栗の木。

この雪どこまで降るのかと思っていたら、ここ止まりで雨になりました。
積もらなきゃいいような気がするんだけれど、夜間の低温で朝はツルッツルッに凍るので、これはこれで
困ります。

ここは宮城県北部の岩出山という小さな町。伊達62万石の殿様伊達正宗が仙台青葉城に移る前の居城が
あったところで、(今は城跡だけ。有備館という学問所が残っている)、東京の会社に勤務していた夫の退職後、  突然ここに来て住んだ、と言うと、大抵の人は「えーっ」と驚きます。

「親戚か誰か?」
「いえ、全然。縁も所縁もない。大体東北地方に来たことがない」
というともっと驚かれます。同郷の友人がこの町に建てた山小屋に遊びに来て、「私も住もうかなあ」と思って
住み着きました。それから12年。

当たりでした。空気はきれい。空は真っ青で夜は真っ暗。満天の星にまん丸い大きな月。黄金色の稲穂、
白鳥にガン、伊豆沼、内沼、長沼の蓮の花、蛍、そしてとにかく広い。この広さは東北独特でしょう。
大地震は何度も来るけれど、家も井戸も壊れたけれど、でも来てよかった。

 

 

海の人達とも友達になれました。

先日の南三陸でのワークショップの時に、四万十チームから南三陸の海の手インストラクター部隊に         質問が出ました。
「新聞バッグを作るに当たって、何か困っていること。こうしてほしいと思うこと、言ってください」

昨年から始まったワカメやホタテの養殖の仕事の合間にもの凄い勢いで新聞バッグを折ってくれている
Y仮設のK子さん、S子さんの答えは?

「ダンボール箱がない」
「英字新聞がなくなる」
「英字新聞の絵(写真)を出してくれ、とよく言われるけれど、英字新聞の写真はけっこうひどいのいっぱい
から出すの大変」
「運送料が高い」

 

そうなんだよねえ。南三陸でダンボール箱を手に入れるのは大変なんですよ。
食品スーパーのレジ袋が有料になってから、どこでもそうだと思うけど、うちの近所のスーパーマーケットには    ダンボール箱が山積みされるようになりました。うちの集落は過疎じゃなくて僻地指定なんだけど、ダンボール山積みのスーパーは4店舗くらいあります。ちょっと足を伸ばせばもっとある。
でも南三陸にはスーパーマーケットがない。コンビニか復興商店街くらいしかない。気がつきませんでした。
みんなに苦労かけてたんだ。これから南三陸に行く時にはダンボール箱を運ぼうと思います。

英字新聞が足りなくなる。
これは私たち山の手が鋭意集めるべく努力しています。

新聞バッグの絵柄のこと。
これが面白かった。新聞バッグは文字ばかりだと面白くないので、というか、やはり楽しい色、柄があったほうが
楽しいと思うので、なるべくカラフルな広告とか写真とか入った面を表に出そうとします。

ところがあちこちから送って頂く英字新聞には、けっこうニュース的に生々しい写真が多い。エジプトのデモとか
シリアの爆撃とか。まあ、できることなら殴るとか叩くとか人が傷ついた写真は避けたいです。
「でもその写真が載った同じ新聞がドサッとくる時あるのよ。そんな時には中に入れたりしてけっこう苦労するよ。
だから文字だけでもいいんじゃない?」

 

私もこの頃時間を見ては新聞バッグ折ってますが、日本の新聞を折ると、「いろいろあるけど、やっぱり日本は平和なんだなあ」と思います。

新聞バッグを折って、まさかこんな感想を持緒つようになろうとは思いませんでした。

 

運送料が高い。
海の手山の手で最も「困った」と思うのは運送料の問題。注文頂いた新聞バッグには運送料を頂いていますが、
新聞をいただいたり、頂いた新聞を南三陸、その他に送り、仮設住宅で作り上げた新聞バッグをこちらに送り
返してもらう運送経費が大きい。これをどうにかクリアするのが目下の課題です。

同じ宮城県でも農村の人と海の人は全然違う。
その人も暮らしも知れば知るほど面白く、興味が尽きません。