砂像(サンドクラフト in みたね2019)

松さんはしまんとの新聞バッグのインストラクター。
数年前に黒田さんが松さんを我が家に連れて来た時に初めて会いました。高知県出身で海辺の砂に像を作るために、あちらこちらの砂浜を巡っている。その途上で宮城に寄った、とのことで、雪像ならぬ砂で像を掘る人がいるのかと驚き興味を惹かれました。

まだその頃は砂像彫刻家としての道筋はさほど松さんの中で決まってないよう
に見えたのですが、今年の5月にフェイスブックで松さんが掘った砂の犬を見て
驚愕。

秋田の砂で彫った秋田犬、これがほんとに砂で作られた犬?
まるで生きてるような、、。
賢そうで素直そうな眼。「どこ見てるの?」と問いかけたいような。
自分が犬が好きなせいもあるけれど、完全に魅せられました。

忘れられないでいるところに、この春の三種からフィンランドに渡り、そこのコンペで3位。その後アメリカのロスアンッジェルスに移動して砂像を彫り、その後はカナダでのコンペで4位を受賞した松さんが再度秋田の三種町で砂を彫ると聞いて(サンドクラフト in みたね)、これはどうしても今見ておかなければと、南相馬の上条さんを誘って秋田に向かいました。

秋田県の三種町まではなかなか遠い。
男鹿半島の北に位置する町で、我が家からはほぼ3時間。南相馬から来る上条
さんにはさらに3時間プラスの超遠距離ドライブ。

あっちに寄ったりこっちに寄ったりしながら延々延々と走ってようやく辿り着いた先は、想像とは全く違ってた。広い広ーい海辺、その先は日本海、見晴るかす彼方まで立ち並ぶのは大小の風車、(これだけの風車があるということは、風が強いとこなんだね、ここは)、風車の下には色とりどりのアウトドアテントが張られていて、水着を着たりバーベキューをやったりと夏の海辺を楽しむ人々がいっぱい。

秋田県にこんなとことがあるの!  もう外国みたいな光景。

ここには温泉も湧いていて、その名も砂丘温泉。今夜はそこに泊まります。
砂地の農業が盛んのようで、立ち寄った道の駅の野菜は安価で山盛り。通り
過ぎる道沿いの畑には採り残されたメロンがごろごろ。

秋田県は学業優秀の町。というのは私たち東北に住む者には常識みたいなものだけれど、雪深く寂しいイメージが強い秋田県の海辺に、こんなに明るくて海が美しい日本じゃないような風景があるなんて、全く知りませんでした。

そして初めて見る憧れの砂像は、、、。

高さ3メートル。砂を積み上げ彫り上げられた砂像。
ダイナミック! 他では見られない光景!

海を背に立ち並ぶ大きい砂像は招待された砂像製作者の作品。その他にも砂浜には一般の人や子供や学生が彫った作品も居並んでいて、これもまた素晴らしくひとつひとつ見歩くのが楽しい。土地に溶け込んだ砂の彫刻。

松さんの砂像を見つけました。
松さんが1週間かけて制作に取り組んだ作品は少女の像でした。
秋田犬の目にも驚いたけど、この少女もまた柔らかく優しい表情をしています。
ひとつ間違えば崩れ落ちるかもしれない砂の彫刻を、どんな気持ちで彫っていくんだろう。

長い1日が終わり海の色も空の色も砂像も夕焼け色一色

日没の日本海。ほんとうにきれい。

日が沈んだ後にはさまざまなパフォーマンスがあり、オープニング当日の夜には花火が上がります。

砂像の下の砂に座って見上げる花火は圧巻。空から花火が落ちてきそう。

秋田犬の目に惹かれて出かけてきた三種町釜谷浜海水浴場。サンドクラフト会場でしたが、忘れられない場所、忘れられない夜になりました。
この砂像を作るイベントは今年で23年目だとのこと。なぜ23年間も続いているかというと、砂がいいからだそうです。これほどの大きなそして芸術的で素晴らしい砂像のお祭りが東北の人たちにさえ全く知られていないなんて、ほんとうに勿体無い。帰ったら宣伝に努めます。そして来年も必ず来ます。

砂像を作った松さんと3人で枕を並べてたくさんお話をした翌日は、せっかく秋田まで来たのだからとさらに北上して白神山地へ。
白髪山は準備がないと登れないと知り、登るのを諦めて太平洋側に進み、かつては小坂鉱山の鉱山資源で栄えた小坂町へ。前に一度来た時に町中溢れんばかりのニセアカシアの木に驚きましたが、小坂鉱山の噴煙で周囲の山の木が全て枯れてしまい、アカシア300万本を植えてアカシアの町になったのだと知りました。

小坂町の重要文化材、日本最古の芝居小屋「廉楽館」で常打ち公演を観て、今回の秋田訪問を終わりにし、また延々延々と戻ってきました。

遠かったけど砂像は素晴らしかった。
是非たくさんの人に行ってもらいたい。
行ってもらいたいので、たくさん写真を載せました。

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