山の花園

旭川で私が行きたいのは旭川動物園と山全体がガーデンだという紋別町の
「陽殖園」。
この「陽殖園」というのが知る人ぞ知る日本一変わったガーデンというか、
70歳を半ば過ぎた男性がひとりで60年の歳月をかけて作り上げ、今もなお
造り続けているという山の中にあるのではなく、ひとつの山を全部利用して
作っているという花園なのです。

何かの雑誌でその山の斜面をピンク色に彩るエリカの群落を見て以来、一度
は行ってみたい、見てみたい、とは思うものの、紋別は富良野から遠く離れた
オホーツク海に近い町。その上に花咲く季節が限定されているので旅程を
立てるのが難しく、憧れるけれど行けない私にとっては幻のようなガーデン
なのでした。

そのガーデンに今回はND君が連れて行ってくれるというので、「陽殖園」
訪問はまさしく私の今回の旅のハイライト。

と、その前にとND君が連れて行ってくれたのが、ND君がガーデン研修前に
トムラウシ山から旭岳を縦走した折に、降った旭岳の麓で偶然出会った町、
東川町。

ND君が移住したいと思うくらい気に入ったというので、ちょっとだけの時間
で立ち寄りましたが、まさにこの小さな町は、人が住む、暮らす、子供を
育てる、または私のような移住者にとっては理想郷のような町でした。

旧小学校を利用して作られた町の交流文化施設、セントピュア。
見事にモダンに造り変えられていて、今は日本語学校やコミュニティセンター
として利用されています。たまたまその日は外国語学校の卒業式らしく、
正装した外国人男女明るい笑い声が廊下に響いていました。

隣に置かれたセントピュア2は広々とした大きな図書館。
ここもまた豊富な蔵書に、「写真の町」を宣言したこの町の写真の歴史に
北欧と提携研究されたこの町の生産物のモダンな家具の展示等々、ユニークな
町づくりの工夫が随所に読み取れ、移住者や観光客が増え続けているという
実態が頷けます。若い家族の移住者が多いのか、保育施設ももんがの家の
園庭には数多い子供たちに色とりどりの帽子が見えました。

上の写真は図書館内部。株主制度があって私でもこの町の株主になれるらしい
らしいのでなってみようかなあ。

しかし、私がなにより驚いたのは、この旭川近郊の車窓の光景。大穀倉地帯。
北海道の大地は広く、稲田も広大で、9月も半ばというのにそして日本一
寒いらしい旭川近郊なのに、稲田は早くも真っ黄色に色づいて圧倒的な
迫力をもって目をよぎります。とにかく広い!

お昼を過ぎてようやく陽殖園がある滝上の町に到着。
道の駅はあるけど、食堂はなく他に食事ができるところは1軒くらいしかない
ので訪問する方はご用心。

いざ、憧れの山のガーデンへ。

なるほど。山の花園入り口の看板も普通とはちょっと違っている。
受付におられたのはご当主の高橋武一さん。
14歳からひとりで山に花を植え続けてきたというちょっと得意な生き方とは
裏腹に、至ってにこやかに出迎えて頂きましたが、背後には
「花の名前を訊くのは2個まで」
「作り方は訊かないこと」
「山のなかのものは一切持ち帰らない」との大書した注意書きが、、。

ガランガランとなる大きな鈴が5、6個ついたベルトを腰に巻きつけ
(要は大きな熊鈴)、山中案内地図をもらい、何やら緊張して山の中へ。


通路を赤く彩るのはベルガモット。
ここはやっぱり山です。地図を見ても迷う。

今は9月半ばで花は咲き残りの季節。案内図を確かめながら歩いていられる
けれど、花全盛期の頃に来たら花に見とれて道に迷いそう。
と笑っていたのは道半ばくらいまで。最後のほうはほんとにわからなく
って出口に辿りつけるのか不安になりました。

池には睡蓮や河骨が。

目指すエリカの山にやっと出逢えました。感動!

しかし、ここのエリカはばかでかい。普通園芸店で見かけるのは20センチほど。
大きくったってせいぜい25センチくらいなのに、山の斜面に植えられたエリカ
も山道沿いのエリカも50センチほどには育って見るからにでっかい。

エリカだけではなくて、この山の花園の植物は植栽した園芸種でもものすごく
大きくて、山に植えるのと山じゃない平地に植えるのは何故こうも大きく
なり方が違うんだろうと不思議。何が違うんだろう。

ここ数年憧れていた陽殖園にやっと行けて感動。
武一さんからは、今度は泊りがけでゆっくりおいで。と言っていただいた
けれど、ほんとに今の元気が続いたら、是非また来てみたい。その時は
オホーツクの海辺まで行って、ハマナシを見てみたいと新たな希望が
湧きます。

また大穀倉地帯を眺めながら戻って旭川泊まり。
翌日は旭川の上野ガーデンから糠平湖を通り幕別まで行きます。
延々と運転してくれるND君に感謝。

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