ローズヒップの庭

2日目は富良野。
8月も半ばすぎともなれば、美しかったラベンダーももう盛りを過ぎて、花を
刈られた盆栽様の姿になり、大賑わいだっただろう観光客の姿も少なくなって
静かさを取り戻したように見えます。が、やっぱり暑い。
お天気は晴れ晴れ、富良野岳や十勝岳の山容は美しく、歩くには最高の日和
なのだけれど、温度と湿度が高いのと強い日差しで暑い。

最初にお訪ねしたのは喫茶くるみわりの浦田ご夫妻。奥様のみやこさんは
くるみわりを拠点に展開されている「暮らしのステーション」の活動のひとつ
である「ふらのみらいらぼ」のプログラム「まぜてまなぶ」の森・ひと・アート
緑のプロジェクトに参加中とのことでその会場へうかがうことに。

「まぜてまなぶ」は大人もこどもも年齢や立場を超えて繋がり、自分たちが
生活する地域を楽しみながら作っていこうとする素敵なプロジェクトで、
その実践現場は富良野の深い森に分け入り、感じたひらめきや感動を描いた絵や写真の展示会でした。みやこさんに会いに行って、絵を描いた富良野高校の生徒や先生とのギャラリートークにも参加せてもらえました。

次はくるみわりにお邪魔してご主人のよしさんにコーヒーを淹れて頂いて
ゆっくりお話ができました。ご主人はジェロントロジー「老人学」をベース
にした暮らしのあり方を考え具現化する「暮らしにステーション」の代表
をされていてラベンダーの知識が深く、お話しする度に大きな刺激をもらい
ます。久しぶりにおふたりに会えて、新しい刺激をいただきました。

次に日本ではふたつとは見られられない特別なお人形を作るお人形作家の
高木さんの作業場にうかがったらあいにくお留守。

あとひとり、お会いしたかったのは、以前にお世話になった彩香の里ラベンダー園のくどうみちこさん。でもラベンダー園の最盛期が終わり、札幌の自宅に
お帰りだと聞いて、訪問を諦めました。

富良野の町散策は、ここで時間切れ。次は風のガーデンへ。


ガーデンに入る前に久しぶりに森の時計で遅いランチ。いつも観光客で満杯なのが珍しくガラガラ。
カウンターの向こうの窓から見える急斜面の緑が気になって、ちょっと質問して
みました。
「あの斜面は草を刈るのですか?」
「いえ、刈りません」
刈るわけないよなあ。山だもの。いつも草刈りばかり気にしている私の心情から
出たバカな質問でした。

しっかりお腹を満たして、閉園間近な風のガーデンへ。
5月に来た時には雨が降っていて寒くて花も咲いてなくて、球根の花の中から
エゾエンゴサクを探し出して満足して帰りましたが、夏の終わりの今回は草も
花も伸びて伸びて、かわいらしいという風情ではありません。逞しい草木。


周囲の森の木々はうっすらと黄色味を帯びて、早初秋の気配。なのに気温が
高く暑い、というのがなんとも解せません。

人気がなくなった風のガーデンゾーンを通り過ぎて、倉本先生監修の薔薇の庭へ。この薔薇の庭は、様々な名札付きの薔薇が植えられた薔薇園様式とは全く違っていて、名も知らぬ大きな薔薇の木々の間を巡って歩いて楽しむお庭です。
とても珍しい貴重なお庭だと思います。

そしてなんとこの薔薇のお庭は、赤い花のような薔薇の実がいっぱいのローズ
ヒップのお庭に変身していました。

私が知ってる限りで、こんなにローズヒップが美しい薔薇のお庭はここだけです。それと私の家にもあるハマナスの実がトマトのように真っ赤で大きいなんて
全く知らなかった。そして北海道のお庭はハマナスがとても効果的に利用されて
いるのも瞠目。お勉強になりました。

次にND君がヘッドガーデナー張り付きで修行している野の花の道へ。
これはこの後で行く陽殖園でも言えることなんだけれど、もともと自然の原野に
人の手を入れて、自然の野のように作り上げるというのも力技。
自然のままの野草をそのままに人の手がかかった花苗を植え込んで行く作業は
かなりの重労働であろう、という私の推察そのままに、久しぶりに見るND君の
顔はほっそり変化してました。「痩せたね!」とご挨拶。

やっぱり北海道は美しい。
どこを歩いても緑と風が体に染み込むようです。

ガーデン修行の後は必ず十勝の温泉でひとっぷろ浴びるND君を待って、東京から戻るSIちゃんを迎えに旭川へ。
上富良野で名物の焼肉を食べるということになったけど、上富良野が焼肉の
町だとはこれもびっくり。嘘だあ、と思っていたけど、ほんとに上富良野の町に
入ると軒並み焼肉屋さん。

小樽は海鮮で上富良野は焼肉で北海道はなかなか極端ではあります。
明日は旭川へ。






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