東北の底力

このところやること多くて、1日ゆっくりしたいなあ、と思いつつ全くゆっくりできないここ数日。

 

昨日は、「日曜日は用事ない」。朝のお餅仕事を終えた後は午後からゆっくりする、つもりでいたら、

「直売の当番どうするの?」と言われて愕然。

そうだった。日曜日は7月から引き受けた真山直売所の日曜当番だったんだ。はあ~~、休めないー。

致し方なく、道の駅からそのまま直売所へ。

暑いとお客さんは来ません。花も売れないしほかの物も売れない。冷たいものだけ売れるのが夏。

とわかっていても閉めるというわけにはいかないのが真夏。

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直売所の裏の釣堀では、お魚を釣る人たち楽しそう。

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本を読んだり新聞紙の整理をしたり、隣のお店の人にスイカをご馳走してもらったりして終了。

全然売り上げないかと思っていたけど、最後に友だちが来てくれて石巻の日野さん制作のお洋服買って

くれたので、ノルマ達成しました。早速連絡したら日野さん、喜んでた~。

 

 

いったん家に帰り、日が翳ってから、真山の農園にラベンダーのチェックに。

左側に見えるラベンダー。草に取り巻かれそうで超危険。

明日は草刈機持ってきて、周囲の草を刈らねば。しかし、こんだけ広くて誰ーもいないんです。

熊が怖いよ!

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でも翌日の今日月曜日はは草刈りには行けなくて、以前からの道の駅出荷組合懸案の花生産者の        お

宅訪問の第一日目。

 

宮城県は切花大国。お盆の花の売れ方は全国1位2位と言われるほど。私のように他所から来た人間から

みると、尋常ではない売れ方をします。それだけご先祖さまを大切にする土地柄だということだけれど、

それだけの数量の花を生産者だけで賄えるのか否か。

50名弱の花生産者の畑ではどんな花がどんな形で栽培されているのか。そんなことを知るために、会社と

出荷組合合同で、花を栽培している生産者の畑を訪問する計画をたてました。

 

今日は最初の地域、上の目地区。

1軒目はTさん。例年相当数の盆花を出されているTさんの畑では、今年もたくさんのアスターが育っていました。

お盆にはいくらあっても足りない小菊は、ちょっと時期が合わないかもしれない。

 

それにしても暑い!空は真っ青で炙られるような陽射し。畑にいることが苦痛になるほどの暑さ!

 

2軒目は出荷組合の再長老とも言えるMさんの畑。息子さんが栽培を担当してMさんが出荷するという形での

連携のようですが、ここでは輪菊がしっかり育ってました。もう80歳を過ぎられた農業の生き字引のようなMさん

のお話は自然界の森羅万象に亘っていて実に面白い。

花が本業ではなく、苺苗の実力者であり、あまり人が作らないような野菜の栽培者であり、冬場の農閑期

には、木を削って作る削り花や独楽、藁編みやひょうたんの飾りものなども作ってしまう岩出山の宝のような

Mさんのお宅のお庭の建物の屋根はこんなだった。

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3番目の0さん夫妻の畑はびっくりするような山の上。

70歳を過ぎて、こんな傾斜のきつい坂を登って、こんなに木々に囲まれた段差のある畑で、日々作業をされる

のか、と改めて敬服しました。これでは機械は使えないので畑を作るのも鍬を持っての手作業なんだと思う。

深い森に囲まれ、筍、山菜、山の恵みは種々山ほど。柿や栗の曲がりくねった大木のいかにも座り心地が

よさそうな枝の分かれ目には熊がゆっくりと実を食べたのか、爪あとがあちこちに。 なかなか強烈且つ刺激的

な環境。でも花はいろんな種類がたくさん咲いています。これだけの苦労があるんだもの。作ったものは是非、

売ってもらわなくちゃ・・。

「爆竹よりもドーンと音がする花火のほうがいいよ。あれだと熊が逃げてくから」

同行の豆腐屋の中森さんが熊撃退のレクチャー。

 

 

4番目は、トマトと大根をハウス栽培されるTさん語夫妻の畑。トマト栽培歴50年のプロ中のプロ。

盆花は健全に育っていたけど、なんといってもトマトが凄い。

ミニトマトのハウス。

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これから出てくるよ、とトマト栽培歴50年のご主人が勧めてくれた皮が柔らかいトマトの黄色版。

これは美味しくて食べるのが止らない。

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本命の盆花、アスターはなんとフラワーネットなしで、真っ直ぐに育ってる。

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これ、ちょっと普通では考えられない。

アスターをハウスの中で栽培して、フラワーネットなしで真っ直ぐに育てるなんて、どうすればそういうことが

できるのか。普通はフラワーネット張っても曲がるものは曲がるんだけれど、Tさんのは曲がってないし立ち

枯れも少ない。なんで?フラワーネット張るのが面倒で大嫌いな私は狐につままれたよう。

百聞は一見に然り、とは言うけれど、今日は見せてもらうもの、見せてもらうものにびっくり。 花も野菜も

いろんな栽培の形で作られているのだな、と現場を見て痛感しました。

 

 

よっちゃん農場のよっちゃん宅ではお父さんのK一さんが花作り担当。

現場到着時はよっちゃん、なんばんの鉄板炙りを終了した直後。まだ熱気と火種が残っています。

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K一さんの車に乗り換えて轍かすかな草の道を山の畑へ。

k一さん丹精の菊が元気に育ってました。K一さんの菊作り歴は私と一緒で震災後だからまる5年経ったか

経たないか。津波で流れ残った菊苗と新しい挿し穂で作った苗を4000本、会社を退職したばかりのK一さんと

分けて、南三陸から二次避難で鳴子温泉の滞在していた小野寺菊の師匠の指導を受けながら育てたのが

最初でした。あれからまだ5年しか経っていないのに遠い日の出来事のよう。

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そしてK一さんのもうひとつの夢は芹。

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2、3年後にはこの何倍もの芹の畑がよっちゃんちの山間の畑に出現しそう。

畑の脇に枝を広げた桐の木の実。薄紫の花はよく見かけるけれど、実は初めて見ました。

食べられるのかしら。

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耐え難いほど暑かったけれど、始める前に思ったよりもうんと充実した楽しい生産現場めぐりでした。

これまで直売所で顔を合わせるだけだった生産者の方々の夢や疑問や不安などを知ることができる機会

でもあり、出荷組合の課題や力不足を認識する機会でもある。

ことを実感できた、と同時に田舎を知らない都会もんの私が、心の底から東北の農家の規模と奥行きに、

驚愕しました、というのが本音。

 

東北の底力を見せてもらえた1日でした。感謝! みなさん、ありがとうございました。