菊の栽培と海山ネットの布製品を作ってくれているOさんご夫妻の仮設住宅入
居が決まりました。これまで販売した代金を持って雨の中中山平温泉へ。緑濃
い鳴子の山々は雨で煙って墨絵の世界。Oさんはこのひどい雨の中、山の手
Sの梅農場で梅の収獲とのこと。雨でも風でも収獲の時期には時期を外さず
どうしても収獲しなければならないのが農業なんですねえ。
Oさんは元南三陸町志津川の菊栽培の小菊部門の会長さん。菊作りのプロな
んだよ、と先日県の担当の方から聞いたばかりで、きっかけが津波だから喜
んでいいんだか、とは思いますが花栽培20年くらいやっていても菊を作ったこ
とのない私にとって、巡り会えてほんとに良かった会長さんです。
眺望天下一品のお部屋に上がって、奥様とこれからの話をします。仮設に行
っても作ってもらいたいものがたくさんあるのです。まずエプロンたくさん。数
日前6枚出来上がって人に見せたら、その日のうちに全部売り切れてしまいま
した。仕上がりが素敵とういうだけではなく、腕前がすばらしい。
たくさんの方からたくさん布地を頂いたからたくさんエプロン作ってプレゼント
したいねえ、と意見が一致。あと温泉のお風呂で泊り客の方から糸の提供の
お話をもらったそうで、これでレース編みも存分にできそうです。
「これじゃあ仮設に入っても忙しいねえ」そう言ったら
「津波のことは仕方がないの。でもここに来てみんなに会えたからこうして毎日
楽しく暮らせる。ここに来てほんとに良かった!」
と思いがけない言葉を聞きました。
お二人には内緒ですが、仮設に越される前にOさんが好きなクラシック音楽の
CDとプレーヤーをプレゼントします。
私たちもOさんご夫妻に会えてほんとに良かった!!
山の手S記