朝、道の駅で両手に菊の花束を持ったお客様から[どっちがいいと思う?」と訊ねられました。
60年配のとても優しいお顔立ちの小柄な男性のお客様で、問われているのは、手に持つ菊の花束と
まだバケツにある千日紅の花束とどっちがいいと思う? と。
お墓に持って行かれるのだったらやっぱり菊のほうがいいのではないか、と。日持ちもいいし・・。
という私の言葉から、「実はね、うちの息子のお墓に備えたくて」と、亡くなられたのはたった一人の
息子さんだということで、石巻の海でほんとうに気持ちが優しくて病気ひとつしなかった息子さんがたった
1日で亡くなってしまった、とお話を聞かせてくださいました。
見ず知らずの私なのに。
聞いているうちに私も息子さんの海での死が、残念で残念で仕方がないような気持ちになりました。
こんな素晴らしいお父さんなのだから、きっと優しい素晴らしい息子さんだったのだろう、と思って。
そしてふっと、数日前に南三陸のけい子さんのうちに行ったことを思い出しました。
新聞紙をヤマトに運んで発送するつもりが、用意している間にヤマトに運ぶくらいだったら直接持って行っちゃおう
とばかりにけい子さんに連絡もせず、南三陸まで走っていったらけい子さんは留守。
新聞紙を玄関口に積んで、そのままUターンして帰ってきました。
その帰り道、志津川の土盛りの山の合間合間からチラチラと覗く海を目に入れながら、そうだ、私は
夫が亡くなってからずーっと海に行っていないんだ、ということに気づきました。
そして「海には行きたくないな」という自分の気持ちにも初めて気づいた。
そのことを思い出して「海に行かれます?」とお客様に聞いたら、「海が見えたら目を背ける」って。
同じですねえ、と二人で笑ってお話しました。
私がお勧めしたとおり、菊の花束を買われたお客様が、息子さんの分までずっとお元気でいらっしゃるように。
そんなことを思った道の駅の朝でした。
いよいよ10月の連休。1年で1番忙しい紅葉シーズンの始まり。
お餅を搗く量が普段よりぐんと増えるので、シーズン中、失速しないよう体力温存、ゆっくりしっかりお餅屋
稼業をがんばっていかなければならないのだけれど、新聞整理もほうってはおけないので、このところ直売所
当番の日は新聞整理と日課が決まってます。
出荷後、直売所に行ったら、上條さんが依頼した岩手国体の新聞バッグを作って持ってきてくれました。
10月1日の全国酒の日と岩手国体の際の岩手日報新聞紙。
その紙面が生きるように、とお願いしておいたら、こんなふうに素敵に作ってくれました。
そしてこっちは記事を生かした素敵な小バッグ。
こうしてみると、新聞バッグは未だ東北の生活を補うひとつの商品ではあるけれど、そこを超えて、新聞紙を
使った手の仕事としての価値を感じます。
もうすぐ新聞バッグコンクール。
よっちゃんは新作発表するらしいけれど、この岩手国体新聞バッグもコンクールに出場してほしい。
だれか作って~~。