福岡、津屋崎の春祭りよっちゃん祭

私が育った福岡市の外れ、海のすぐそばに位置する津屋崎で行われる春祭り「よっちゃん祭」に今年も
たくさんの新聞バッグを送らせて頂きました。

このお祭りを主宰するのは福津市津屋崎にあるNPO地域交流センター「津屋崎ブランチ」です。代表は
山口覚氏。津屋崎にある津屋崎千軒という古い商家に新しい視点で新しい息吹を吹き込み、
「新しいカタチの暮らし、働き方、つながりを実現する新しいカタチの地域興しプロジェクト」を実践しておられます。

 

よっちゃん祭で「新聞バッグを販売するので注文します」とお電話をくださったのは大震災から1年たった
昨年の春でした。
以前に私たち海山ネットワークが間借りさせて頂いていたNPOの事務所にお出でになり、お知り合いに
になれたことがきっかけです。

今年は昨年よりも多量の新聞バッグで、それも半数は東北のニュースが載った河北新報で作った新聞バッグ
をご注文頂きました。

大震災以来のこの2年間で、海の手山の手ネットワークは15000枚を上回る新聞バッグを作り、販売してきました
が、被災地の新聞紙で新聞バッグを作ったのは最初の頃だけでした。時が経つにつれて、日本語の特に東北の新聞は好まれなくなり、ほとんどが英字新聞紙の新聞バッグを作るようになりました。

山口さんが河北新聞のバッグを注文してくださったのは、震災を風化させないため、とご説明を受けました。
何かある度に復興など何も進まぬ沿岸被災地に行き、内陸部で被災した私たちも、家や井戸が壊れたり、
水質が変わったり、様々な形で被害を受けたマイナスは今も回復せず、ひきずったままです。

ひきずったまま、昨日の震度5の地震のようにまた来るのではないかと気を許せない日常の中で「風化」と
いう言葉はあまりピンときません。今もまだ放射能の影響の中で私たちは暮らしています。

 

でも、その事実を、今はもう終わったかのような報道される中で、「風化させないように東北の新聞を折ってください」
仰る山口代表は、稀有な方です。
新聞バッグの到着後には「心をこめて販売させて頂きます」というご連絡を頂きました。

 

私たち海の手山の手のメンバーが販売に苦労する日本字新聞バッグを「この先10年販売し続けます」と明言
なさる山口代表は、社会を見る深い洞察としっかりした信念を持たれた力量のある方だと敬服しました。

 

明日のよっちゃん祭、是非おでかけください。

福岡を離れて40年以上。大震災があろうがなかろうが、故郷として格別帰りたいと思う土地ではありませんでした。
でも大震災以後、私が福岡で生まれ育ったという理由だけで、どれほどたくさんの福岡の方々に援けていただいた
ことか、信じられない思いです。

帰りたいとも思わなかった福岡に、今こういう形で近づく日が来ようとは。
戸惑い、驚きつつ、これまで出会った福岡の方々に心からの感謝をお伝えしたいと思っています。

 

昨日から風邪っぽかったのが、今本格的になってきました。外に出ても総毛だつように寒いということは、本格的に
熱が出る前ブレでしょうが、よっちゃん祭のこと書きたかったので、がんばりました。

よっちゃん祭、是非お出かけください。