聞いでけさいん 新聞バッグのはなし

40代の初めの頃に、東京でカルチャーセンターに入りました。
高田宏という作家の本を読んで、お話しを聞きたいと思い、先生の教室の生徒になりました。
先生はもう講師を辞められましたが、教室の仲間で年に1回作文集を出すようになり、今年で
22号です。

その原稿の校正が送られてきました。作文の題名は
「聞いでけさいん 新聞バッグのはなし」

今は病床にある友人が、新聞バッグにつけるタグのために文章を書いてくれました。

聞いでけさいん 新聞バッグのはなし
それはリサイクル 包装紙 持ち運びに便利
宮城の今を伝えます。
山に避難した「海の手」から生まれました。
わたしたちは
これからの世の中をかえていくメッセージを
小さな新聞の袋に詰めて届けたいのです。

校正のために読んでいて、ふとこの作文は被災地ではない処へ被災地のことを
伝える作文ではないかと思いました。書いているときには無意識だったんだけれども
改めて読んでみると、私が書きたかったのはその時感じた温度差だったんだねと。

 

これまで私たち海山ネットは、新聞バッグや布の小物の販売のために、東京や
千葉などの復興イベントに参加したことがあります。その都度感じるのは
被災地のありのままの状況、を伝えるのが大変難しいということ。長時間、
或いは声を嗄らしてしゃべっても、報道などで伝えられた被災地のある部分だけを
切り取って報じた印象を覆したり、裏にある事情を説明なんてできるものじやないと
折々に感じさせられます。

遠くの都市の新聞にはもう大震災のことなど載ってない。当地の新聞は1年近く経った
今も大震災から離れるわけにはいかない。またこっちも読みたいとか読みたくないとか
言う前に、この先どう動いて行くのか読まないではいられない。復興だもの。放射能だもの。
日々の生活を左右する大きな負の現実の中で、私たちは暮らしているのですから。

思いついて、あんまりやったことないんだけど、夫に「ちょっと読んでみる?」
と、「面白いよ、これは非常にわかり易くて面白い!」
「面白い」というのは私の気持ちとしてはちょっと意外なんですが、元勤務していた会社
の女性に電話をする、「読んでほしい」というので止めませんでした。

その結果今度は私のほうが面白かった。

その女性Aさんは大震災後東松島にボランティアに行ったそうです。そこで南三陸では
津波で流されてパソコンがないと聞いて、会社からパソコン130台を送ったそうです。
次いで、東京の自社ビルのある区内に建てられた福島からの避難者用公営住宅の
ふたつの自治会にパソコンや机など提供しているとのこと。Aさんはその担当者なんだそうです。

遠い昔、会社が年間にいくらかの予算を社会事業に向けて取りはじめた頃、夫はその
担当者でした。毎年、その予算をどこに出そうかと、必要とされているところを調べたり、
出かけて行ったりしてました。
そういえばツリーハウスに住んでいるイギリス人(?)に会いに名古屋だかに行って、
高い木の上からロープで吊り下がって降りようとしている、夫には不似合いな写真が
ありましたっけ。

久しぶりに昔一緒に仕事をした女性と話をして夫は楽しそうでした。
Aさんも喜んでくださったとのこと。

私としてはそれが一番良かったかなあ。。。

 

 

 

聞いでけさいん 新聞バッグのはなし” への1件のコメント

  1. kazさん、新聞バッグを広めてくださってありがとうございます。Aさんは
    海外でのコンベンションの企画などを担当されている優秀な女性だと聞きました。
    私の同人誌の原稿というへんなきっかけですが、12年ぶりにお話しできて嬉しかった
    と思います。今海の手さんたちがフランスの雑誌でバレンタイン用の小さいバッグを
    作っていますので、今日Aさんにお送りしました。kazさんにも差し上げましょうか。

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