月曜日、たまたま用事があって立ち寄った古川のNPOの事務所で、丁度折りよくというかたまたま時間が
一緒になってお出でになった映画監督にお会いしました。
まだお若くて30代半ば。新進気鋭の映画監督でいらっしゃるらしく、今度新しく作られた映画が「グランプリ」
を獲得なさったとのこと。
映画の名前は「なつやすみの巨匠」
映画の舞台は福岡県福岡市の博多湾に浮かぶ小島、能古島(のこのしまと呼ぶ)。
福岡の西部育ちで子供の頃から常に眼前にノコ(そう呼び慣わしていた)を見つつ、百道の浜や姪浜の浜で
泳いで遊んで育った私は、能古島が舞台の映画と聞いて訝しい。「なんであんな島で?」
博多湾に浮かぶもうひとつの島、志賀島と較べれば地味で小さくて、子供の頃渡船で渡った時は、船から
誰かの背におんぶされて浜に下ろされた記憶があります。。今は立派なフェリーで10分くらいらしいけれど、
私が渡ったのはそれほど昔昔のこと。
あと能古島で知られているのは、「火宅の人」の作家、壇一雄が亡くなるまで住んだ島。
壇太郎や女優の壇ふみさんのお父さんで、私は「リツ子、その愛、その死」から読んで好きな作家でした。
そんなに小さな島なのに、監督さんは能古も福岡も大変気に入ったと、能古まで通うために西新に家を借りられた
とのこと。西新も私が育ったテリトリー。それから60年も経って、こんなに遠い宮城県で私が育った土地を舞台に
映画を作られた監督さんにたまたま出会うこの時間というかご縁を不思議なもんだなあと思います。
これから4回に渡って、高校生と一緒に映像ワークショップを行い、大崎の魅力あふれるコマーシャル映像を
作られるのかどうか。その辺りよく理解できていないけれど、見たことがない映像ワークショップに興味を惹かれて
翌日開かれる第一回目ワークショップを見せていただくことにしました。
翌火曜日。
監督さんと俳優さんでもある助手の方と男女の高校生10人ほどがテーブルを囲み、監督さんがスクリーン
に映し出した映像を見ながら、高校生たちが心に浮かぶ大崎の場所、食べ物、人、を思い浮かべ、紙に書く。
書いたものを貼り出して全員で見られるようにする。
その紙の中身を読んで、その意外さに私はうーーーむと言葉を失ってしまう。
そうかと、納得できるようなモノ、コトはあるにせよ、私が魅力的だと思うような場所は、地元大崎の高校生
たちの目にはそんなふうに写っていないのだとわかりました。
これは結構ショック。よそ者の私から見れば、ここは魅力的だと思えるモノ、コトが、実は大崎内部の人に
とっては普通。逆に私から見ると特別魅力的と思えないモノ、コトが大崎の高校生にとっては自慢できる
モノ、コトだと感じているということだから。
ワークショップ後は岩出山にご案内しました。地震倒壊の修復が終った有備館、若き日の伊達政宗が住んだ
岩出山城のお城跡、あ・ら・伊達な道の駅、緑深い真山を廻って凛菜上の家。
上の家に来るのは、営業最終日、「屋根」の役者さんたちのお昼ご飯以来です。
別れ際、監督さんから「なつやすみの巨匠」のDVDを頂戴しました。
全編博多弁の映画、観るのが楽しみです。
夕日を浴びて立つくつろぎ姿の伊達正宗公像。
しーんと静かな凛菜上の家。
福岡の人に福岡の魅力を聞いたら、いろいろ並べ立てても、まず、能古島なんて答えは返ってこないだろうから、
監督が能古島に惹かれたのと、私が大崎の誰も自慢しないようなところに惹かれるのも同じようなことなの
かもしれない。
この映像のワークショップを4回続けた後、どんな大崎のコマーシャルが出来あがるのか楽しみです。