昨年の春に、要請されて東京自由ヶ丘の産経カルチャーセンターで春の一期だけ、新聞バッグ講座を
させて頂いたことがあります。一期3か月、月に一度というプログラムでしたが、遠いし、交通費は嵩むし、
ということで最初はご遠慮したのですが、担当者のMさんが熱心に誘ってくださるのでやらせて頂く
ことにしたのでした。
その時最初の時間から新聞バッグを作りにみえた方の中で、横浜在住のSNさんという女性から、お仕事
なさっている職場に「ドイツの新聞があるので送りましょうか」と言って頂いたことから、帰ってからも時々
メールや手紙のやりとりなどをするようになりました。
お話ししてみれば奇遇にもご実家は福岡ということで私と同郷の方でした。前はドイツに住まわれていたということで、その後に訪ねられたドイツには、「作った新聞バッグを持って行ったら、ドイツの友人たちに大変
喜ばれた。作りたいというので一緒に道具を買いに行った」などと、ドイツと新聞バッグを結ぶ楽しいお話し
を帰国後に知らせてくださったりしました。
昨年のクリスマスには、ドイツにいた時に周囲のお母さんたちと一緒に作るのが楽しかった、という
糸やストローや紙紐やリボンなどで作った手作りの、それは素晴らしいクリスマスツリーの飾りものを
送ってくださいました。
そして時折頂くお手紙は、ペンギンや白鳥などの折り紙の写真の葉書でした。初めてお会いした時に
折り紙をなさる、とはうかがっていたけれど、そのペンギンや白鳥の生きているような姿に驚き感動
しました。作者は吉澤章氏。
調べてみると、日本の折り紙を「ORIGAMI」というアートにまで高め、世界に広げた日本の創作折り紙の
第一人者、とあります。2005年の94歳のお誕生日に亡くなられていて、その時まで精力的に折り紙の
活動をなさっていたそうです。
今日頂いたお手紙によれば、SNさんは吉澤章氏に直接折り紙の指導を受けられていた吉澤先生の
生徒さんであるということ。そして今は吉澤氏の奥様と妹さんから指導を受けているということでした。
今年、ニューヨークでの東北新聞バッグコンクール開催に当たって、梅原先生がいつも仰る
「四万十生まれのエコの新聞バッグ+東北の大震災後の手仕事として始めたー生きる糧ーとしての
新聞バッグ+日本のモッタイナイ文化と昔から伝わるオリガミの美意識を合わせて、新しい価値のある モノを入れる新聞バッグ」に展開させたいと、「ORIGAMIを教えて頂きたいので一度東北にお越しください」
とお願いしたことから、そんなお返事がきたのです。
びっくりしました。
海山ネットとして新聞バッグ作りを始めてから、想像もしなかったような方との出会いが度々ありますが、
SNさんとお会いしたことも、神様から用意されたような幸運な出会いだったと思います。
仕事場で新聞が溜まる度にドイツの新聞紙を送って頂いていますが、これからもこのご縁を大切に
して新聞バッグに新しい息吹を吹き込みたい。そう思います。
春には静岡で展示会があるとのこと。写真で見た吉澤章氏作のあの凄いオリガミの世界が直接見られる
なんてほんと、ワクワクします。