がんばれーッ、がんばれーッ!

あーッ、また忘れちゃった。

せっかく用意しといたのに。忘れると思って最初から用意して、わざわざ別に置いといたのに。

お餅を搗き終わって、「あー、やっと終わった!」とホッとしたところで、目の前に準備しておいた塩が・・・。

うちのお餅は搗きたて柔らか餅なので、すぐにお客様が車の中で食べられるようにと味付きなのです。

豆入りは塩味。ごまは砂糖味。

ということでお客様には知って頂いているのに、入れ忘れたよ、塩を。

どーしよう!!

お米だからね。お餅だから捨てるわけにはゆきません。どーしよう、と悩みに悩んで先日は紙に「塩が

入っていません。よって塩なし値段で」と書き出して、少しお安く販売しました。

オトーサンはこんなことなかったんです。私がやるからこんなことがあるんです。

オトーサンがいる時には船頭が二人で、ちょっとしたことでぶつかってはお互い「黙れ、黙れ」と怒鳴り

合ったりしてましたが、こうして一人でお餅を作るようになってみれば、船頭が一人でスイスイスイと

うまくいくみたいなもんですが、実際は緊張し過ぎて準備し過ぎて何をどこに置いたかわからなく

なったりする。

搗き終わってそこに忽然と塩入お皿が残っているのを見た時には、ほんとに自分の頭を呪いたくなります。

 

今日も致し方なく、無塩お餅の注釈入りでお餅を販売することにしました。                                                                                         枝豆入りではなくて黒豆入りです。

と、寄ってきたお客様の旦那さまのほうが、「オレ、黒豆がいい」

 

ええー、よりによって黒豆?

「あのー、 この黒豆塩入ってないんですけど」(歯切れが悪い)

「いいよ、いいよ、醤油つけて食べるから」

と、奥様が「あ、ここのお餅は味がついてるんだよね」

 

「あのー、味ないの。忘れちゃいました。塩入れるの」

「えッ、忘れたの!」

お客様ご夫婦のびっくりした顔。 恥ずかしい。穴があったら入りたい。

「あのー、夫と二人でやってたんですけど、この間亡くなったので一人で続けてますけど、忘れる、忘れる

なんでも忘れるんです。すみません」

 

「いいよー、いいよー。塩なんかいいよ。続けてね。がんばってね。」とだんな様。

と奥様さまが

「いつもお客さんが待ってるもんね。がんばれーッ、がんばれーッ、フレーッ、フレーッ」

 

はあーーッ、肝が縮んだけど、励まして頂いて涙でそう。 ありがたいです。

塩なしお餅はすぐに売り切れになってしまいました。

お客様、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

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