うーみさんのリサイタル その2

うーみさんのリサイタルに行った話の続きです。

うーみさんは可愛らしい若い女性です。 小柄。 声はちょっとハスキー。声量は大。
性格はたぶんとても優しくてエネルギッシュ。そしてちょっぴり天然っぽいかも。
その小柄なうーみさんが歌の合間に、突然立ち上がってみんなに言いました。

「私、こんなに小さいでしょ。でもこれでバスケットの選手だったの。学生の時バスケットの推薦で
大阪に行ったの。そしたらね、試合に出て飛び上がった時相手チームの選手と空中で衝突して
頭から落ちたの。頭にも首にも障害が出て、自分で自分のことを何んもできなくなっちゃたの。

一旗揚げるつもりで大阪行って逆に何にもできなくなっちゃったんだよ。今でも全部よくなったわけ
じゃない。でも先の希望も見えなくなっている時に、出会わせてもらったのが音楽だったの。
キーボードたたいて指のリハビリでしょ。歌を歌って元気になっていったの。
歌はいいよ。力をもらえるよ。だからみんなこんな時だけど一緒に歌を歌って元気になろう。
私は何度でも来るよ。桜の花が咲く頃に。あれ?2月の復興市来るんだった。あれ、1月もだ。
あははははは。ずーっと来るんだった!!」

 

次のお話し。
「私ね、夏リサイタルやってる時置き引きで荷物ぜーんぶ盗られたの。家の鍵も車のキーもお財布も
カードもぜーんぶだよ。ショックだった。がっかり落ち込んでたら、ここ来て言われたの。
”荷物くらいいいじゃん”って。
びっくりしたあ。そうか、そうだよなあ。みんなほんとすごいなあ、って思ったの。」

この話でみんな大笑いでした。

そして最後に
うーみさんは南三陸町志津川の防災庁舎で命の限り町民の避難を呼びかけて津波にのまれた
防災放送の担当職員だった遠藤末希さんのことを
「絶対に忘れてはいけない人」として遠藤さんに贈る「あなたに」という曲を作りました。
前夜の南方のトルティーヤでのリサイタルの時に(吹雪で私が行けなかった時)、初めて披露し
たそうです。
その席に遠藤さんのご両親がみえて大変喜ばれたとのこと。そしてここでもみんなで聴かせて
いただきました。あの人、この人、涙を拭いながら聴いていました。

 

CDは来年2月に発売されます。
うーみさんは南三陸の津波被災者50人と深くたくさんお話をして、その本を出版します。それも来年です。

うーみさんのリサイタルに行って私が思ったのは、有識者とか国だの町だのの偉い人が、束になっても
できないような大きな事をうーみさんは一人でやっているということでした。
だってみんなを見てればわかるもの。みんなうーみさんが大好きで、うーみさんが来るのを「待ってるよー!」
と叫んでました。一人でこれだけの人の心を動かすなんて、ちょっとやそっとでできるものではありません。
そしてもうひとつ驚いたのは、こんな短い間に南方の仮設住宅にはNPOが立ち上げられてました。

 

福岡や東京から沿岸被災地向けのお仕事をもらっても、どこへ持っていけばいいんだろ、と困っていた
私はうんと気が楽になりました。これからはお仕事もらったら、「だれかお仕事できる人いますか」と
NPOに持ってゆけばいいのです。
うーみさんは雪の中、温かい高知に帰られました。立派な女性だと思いました。
CDを買って聴いてくださいね。車を運転しながらCD聞いてると明るいうーみさんがそこにいるようです。

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