またもやの北海道(富良野)

富良野2日目は富良野を廻り、その後東川町旭川の先、東川町へ
というスケジュール。
遠慮したのだけれど、fcsの谷山さんのご厚意で、車を出してもらって、
スタッフのすいちゃんにまで出てきてもらって、という贅沢な1日となり
ました。

その前に再度、趣味ではない食べ物の写真をもう一枚。
これ、ホテルの朝食です。
今回の旅程でただ1回だけ食べるチャンスがあるホテルの朝食ですが、これ、
大変においしい。

大きなホテルなどのバイキングの朝食よりも、量、質ともに私の好みに合う
ということでもあるのだろうけど、野菜は当然としてベーコンが特に美味しい。
厚くて柔らかく、今回一緒のSちゃんも、ここの朝食は美味しいですねえ、と
褒めることしきり。

感心して、サーバー役の支配人の方に北海道の農業についてお話を聞かせて
もらい、大変楽しい朝食時間となりました。

富良野巡り第一番目は、現在のN君の仕事場でもある風のガーデンへ。

倉本聰脚本で2008年に放映されたドラマ「風のガーデン」の舞台として
作られたガーデンは、12年経った今では木々も花もしっかりと大きく
なりみっしり茂って見事な景観のお庭になっています。


新型コロナの影響で6月末まで閉園されていたので、花々は最盛期だけれど
人の姿はまばら。

客観的にみれば、ガーデンは、デザインした空間(庭)に花や樹木を
その生態に合うように美しく植栽する、というものですが、数ある北海道
のガーデンを巡ってみると、それぞれにコンセプトがあり個性が違う、と
いうことがわかって興味がつきません。

「風のガーデン」は、花々は太く大きく、草などの邪魔ものは見事に取り
除かれカッチリと仕立てられたお庭です。春の球根から秋の紅葉まで
どの季節に訪れてもいつも美しい。

4月の初めはまだ雪の中なのに、たった3ヶ月あまりでここまで育つ
植物のパワーの凄さ。

次は丘陵一帯を埋める葡萄畑に囲まれた六花亭カンパーナ。
言わずとしれた北海道の銘菓、六花亭が富良野で経営するお土産&cafeの
お店。葡萄が実っていない今は葡萄棚の緑の中のカンパーナ。
ここもやはり人影はまばらで緊張感が緩みます。

広いテラスから臨む山々と富良野の町。連なる山々の名前は何度聞いても
覚えられません。十勝連峰?

そして次がいよいよ今が盛りのラベンダー見物。
ラベンダーは富良野中どこにでも咲いてはいるけど、なんといっても
老舗は富田ファーム。
例年ならラベンダーも凄いけど観光客も凄いという富田ファームですが、
行ってみたらなんと、、、。

えーっと驚くばかりに人が少ない。喜ぶべきか悲しむべきか。
こんな富田ファームは初めて。だけど花を愛でるには絶好のチャンス。
来年もこうだったらほんとうはよくないんだろうけれど、こうであってほしい
ような複雑な気持ちで、眺めるラベンダー畑でした。

北海道に来ていつも思うのは、草だらけで放置されている土地を見かけない
ということ。うちの近所にはいくらでもあるんだけど。

冬になると雪で覆われるスキー場なども、夏になるとラベンダー以外の夏
の花々、色とりどりのマリーゴールド、サルビアなどが植栽されて見事な
景観を作っています。

そしてこういう花々を見るといつもながらむくむくと湧き出す疑問。
高温発芽、高温育苗で、低温ではなかなか大きくならないマリーゴールド
やサルビアが、なぜこの寒い土地で2、3ヶ月でこんな姿にできるのか。
ハウスで加温?といっても辺りにはメロンやスイカのハウスが見えても
花苗の育苗ハウスみたいなのは見えないのだけど。どうなっているんだろう。
実に不思議で仕方がない。

そしてこれだけの花苗の需要。春や夏にタネを蒔いて、花壇の花を栽培
してもお盆が過ぎて秋には作った苗の売り先に苦労する花苗栽培当事者と
しては、こういうところで花を作れば楽に食べていけるのでは、などと
あらぬ方向へ考えが走ります。

パッチワークのように美しい美瑛の段丘の畑を見ながら旭川を通過し、
東川町へ。


旭川から車で20分ほど。旭川空港から7キロという立地の大雪山の麓に
広がる東川町は「写真の町」「大雪山の伏流水で上水道がない町」
「外国人の日本人学校がある町」「移住者で人口増の町」等々、その
ユニークな町づくりが面白く、再度訪れたいと思っていた町です。

前回来た時に興味を惹かれたのが町の株主制度。町の株主になってこの町
を応援するという制度ですが、今回は早速町の中心部にある図書館の窓口
で手続きをしてもらい、晴れて株主になりました。
株主になると町づくりに参加させてもらえて寄付金はふるさと納税。
この町産のお米ももらえることになりました。新米が楽しみ。

なにをする、というのでもないけれど、町つくりに工夫を凝らし、元気よく
人口を増やしている町に関連するのは、こちらも元気をもらえて楽しい気持ち
にさせてもらえます。

最後に連れて行ってもらったのは、N君お勧めの北の住まい設計舎。
町外れのずいぶん奥まったところにある設計舎は、これがびっくりするほど
お洒落。ランチをとれるcafeあり、パン工房あり、ショップでは北欧の商品
が販売されてました。

そこで見つけたのがなんと北欧製の糸と布。
気仙沼のマルティナさんの毛糸のように鮮やかな色とりどりの毛糸は、夏
真っ盛りの今は買う気持ちにはならないけれど、日頃から探し求めている
布には目が眩みました。

北欧の布って、お国柄なんでしょう。大変に幅が広い。日本の夏用布の倍
くらい幅広。そのうえ値段も高くない。
ということで、日々縫い物に夢中のSちゃんと私は、遠方に来ていることも
忘れて北欧リネンの布を数メートルずつ購入。嬉しいけど重かった。

富良野に戻って夜は、今回の旅のハイライト。大事な用があります。

これまで手放すことができず大切に持っていた、木彫家だった母の遺品の
木彫の道具を富良野に託すことにしたのです。

私の母は子供を成人させた50代の初めから90歳で亡くなるまで、寝ても覚めても絵を描きデザインをし、木を掘り続けた人でした。小さいものは小皿から手鏡
まで。大きいものは大小のレリーフ、テーブルから壁まで留まることなく木を
彫っていました。教職を終えた父が母を助け、二人三脚の作品作りをして
いましたが、86歳で福岡から宮城の私のもとに来て6年を過ごし、ふたりは
同じ日に亡くなりました。

大量に遺した彫刻刀や鑿などの道具をどうするか、が私の終活の大問題だった
のだけれど、富良野で素晴らしい木のお人形を作っておられる高木誠さんが
引き受けてくださることになり、安堵しました。

嫌なお顔をせずに受け取ってくださった高木さんは、父が研いだ刀の刃を見て
「まだ40年は使えるよ」と言ってくださった。
高木さんのお人形作りで、母の道具が少しでも役にたってお人形が生み出され
れば、「こんなところで私の刀が」と喜ぶ母の顔が目に見えるようです。

長い間ひっかかっていた任務をこんな形で終えることができて、久しぶりに
お会いする谷山さんや太田さんとの食事もお酒も美味しかった。

ほんとうに楽しい1日でした。