今朝のテレビ番組で、みのもんたが南三陸町を訪ねていた。南三陸の町を撮り
続けているという写真家の人が「この町を訪れる人に、南三陸町をこんな町だと
思われたくない」とみのもんたに津波で流される前の南三陸町の写真を見せて
いた。きれいな町だ!入り江の向こうもこちらも緑の中にこぎれいな住宅が建ち
並んでいる。
首都圏からこの地に移ってしばらくした頃、結城登美雄氏の著書で知った唐桑
半島に行ったことがある。驚いたのは手付かずの自然だった。この時代であり
ながら海に向かってなだれ落ちる岸壁を覆うように白い花が咲いていた。
岸壁の上の原生林の中にも紅色の百合や野生のキクが咲き乱れている。
深い松林や砂浜が目に馴染んだ郷里の福岡の海辺の町はもうすっかり様代わ
りして、こんな風景は残っていない。なんと美しいところだろう、と感動して帰って
きた唐桑半島は、もう美しさも何もなく、「今は写真に撮るよなところではない」先
日訪れた知人はそう言っていた。
菊栽培の先生になっていただいた南三陸のOさんご夫妻が仮設住宅に当選され
た。奥さん曰く「当たっちゃったのよ」おめでとうとも言いにくい。歌津の外れのほ
うだとか。ここから車で2時間半では行かないかもしれない。海山ネット商品の
布小物作りをお願いしていた奥様は「当たっちゃったから行くしかない」けれど、
仮設に入ってからも小物づくりは続けてくれるそうだ。
もう一人のエミコさんは仮設入居を止めて、鳴子の住宅を借りることが決まった。
これから始める週1回のパンとお菓子づくりに参加してくれるそうだし、海山ネット
の簡単な事務も引き受けてくれた。
せっかく知り合った人たちが遠くに行くのは寂しいけれど、これが新しい生活
の始まり。これからまた送られてきた支援の品々を持って南三陸まで押しかけ
て行こう。地震、津波で知り合った縁を大切にして。
山の手S記