修道院に泊まったことがあります。
那須のトラピスにトは一般の人が泊まれる宿泊施設があります。格別な飾りのない簡素なお部屋は、清潔で
必要なものは全て揃っている。過不足がないとはこういうことなんだ、と納得しました。
朝食の時のパンがこれまで食べた中で1番というくらいに美味しかったことを覚えています。
何故修道院に泊まったかというと、カルチャーセンターで一緒だった友人が、ご主人とご子息を失くした後、
この修道院に入ったので、会いに行きました。
会う、と言っても会いたい日も時間も前々から予約して、忙しい日々の修行の合間に会わせて
頂けるのです。何かできることをと考えて、1日に何度もある礼拝に朝と夕べの2度出させて頂きました。
とてもとても不思議な体験でした。この世の中にこういう方たちがこういう形で暮らしておられるのか!
黒やグレーや白い衣の修道尼たちが50人ほども美しい高い声で合唱し祈り、一人だけ男性の外国人の
神父さまが朗朗と祈りの言葉を述べられます。
今思い出しても夢の中の時間だったような気がします。
帰ってきてから、その時から、私が作るお餅を送ることにしました。似合うとか似合わないとかは無視して
外国人の神父さまの分も入れて、あんころ餅5、60個どっさりと送ります。
一日で作るのは難しいので、少しずつ作っては冷凍し、まとまったところで、道の駅で販売している松山の
一六タルトと一緒に送ります。
栄子さんのご両親は松山のご出身。お祖父さまの兄上が松山大学の創始者であり、、一六タルトは
栄子さんが子供の頃から最も親しんだお菓子だそうです。
4年前に私の両親が1日違いで亡くなった時、「自分のせいだ、自分のせいだ」と取り乱す私を全身全霊で
慰めてくれました。今手元にある栄子さんからのお手紙の数の多さにびっくりします。
今日は栄子さんにお餅を送る準備をしました。新米とかりんごとかこの秋に実ったものを送りたいのですが、
自給自足で賄われている修道院なのでお餅だけ送ります。
グリーリ栄子さんの著書をご紹介します。
『いのちの椅子』
『金色の翼に乗って』
戦後の日本の音楽文化発展に尽くされたマルセル・グリーリの奥様が、ご主人とともに数多く出会った世界の巨匠、美智子皇后陛下、中村宏子さんたちとの思い出を綴った心温まるエッセイ、と紹介されています。
音楽がお好きな方は是非。素晴らしいエッセイ集です。