町の魚屋さん

いよいよゴールデンウイーク間近。私たち自営業者はチョー忙しくなります。

今日の朝は晴れというわけではないんだけど、空気が澄んでいるのか鳴子の山々も、栗駒山もくっきり。
雪はまだ溶けてません。薄くはなってるみたい。夏スキーができる栗駒山は、所々黒い雪解けの
筋が入ってまだ雪がいっぱい。
蔵王エコーラインは今日開通だそうです。雪の壁の高さは7メートルとか。7メートル。凄い!
栗駒山はいつ開くんだろう。

久しぶりに町内の魚屋さんへ行きました。魚屋さんではないんだけど、小さい食品スーパーの中の魚屋さん。
私がこの町に住もうと思うきっかけになった魚屋さんです。

10年以上前、東京新宿のホテルで首都圏在住の福岡の学校の同窓会をやった時、中の一人が「今度宮城に
に千坪土地を買ったのよ。そこに山小屋を建てるの」と言いました。

都会の暮らしを止めたくて、群馬、長野、那須と土地を探していた私は、「えーッ、千坪!そんなに広くてどうするの。
山小屋できたら見に行く、見に行く」と張り切り、家が建ちあがってからすぐ、初めて足を踏み入れる東北の宮城県
玉造郡にあるという別荘を見に行きました。

行って最初の日、近くの川渡の200円の温泉に浸かった後、「東京から来たばっかりで何にもないのよ」、と彼女が
出してくれたのが、庭でとれたキノコと猫のツリちゃんのためにスーパーで買ったチカという魚。

北海道産のキスをもう少し細く長くしたような淡白な魚です。10匹以上入った1皿で200円だそう。
「えーーッ、廉い!私もここ住みたーい!」

ということでさっそく町内にあるというその魚屋を見に行きました。友人も私も福岡育ちで、ほとんど魚を食べて
大きくなったようなものです。東京暮らしで魚といえば切り身とその値段の高さに辟易していた目に、そこにある魚は
素晴らしく魅力的に見えました。どの魚も新しく、0ひとつ間違ってるんじゃないの、というくらいに廉い。

何故かというと、1時間もかからないところに塩釜や石巻などの日本有数の漁港があり、そこから直送されて
くるからとのこと。東京方面に行くにはちょっと小ぶりとかのワケアリらしき刺身用秋刀魚が10匹200円とか、
鰹丸ごと1匹350円とか。ここの人には普通の値段かもしれませんが、都会から来た私たちには目をまん丸く
するようなお魚の廉さと新鮮さでした。

「年金暮らしには絶対ここだね」などと言いながら、越してきて10年、このお魚屋さんにはずいぶんお世話になりました。大きな魚は3枚までは下してくれるけど、刺身にはしてくれません。ここまではやるけど後は自分でやりな、という
スタンス。そこがまたいいんです。私も真似して、都会から来た友人たちには、七輪と木炭とと塩を振った10匹200円の秋刀魚と大根を渡して、みんなで焼いて食べてね、おいしいよー!、などと言っていました。

去年は駄目だった。秋刀魚が上がったって。鰹が来たって、と新聞では読んでましたが、この魚屋さんまでは少ししか
来なかった。とてもみんなで焼いて食べてね、おいしいよー!とは言えない状況でした。

そして今日。

この間まで見かけていた宮城産のお魚はきれいさっぱり姿を消していました。
あるのは北海道産、静岡産、長崎産、千葉産、福岡産、さつま揚げなどの練り物も宮城産は姿を消し新潟産。
お魚屋さんの窮状が偲ばれます。
地震の影響で魚が獲れないというもあるけど、いまの直接の原因は放射能。

なんだか胸がつまります。涙腺がゆるみそうになりました。
海はそこにあるのに。魚もいっぱいいるのに。
この陽気で山には山菜がいっぱい出ています。でも採れません。

大変な時でしょうが、魚屋さんにはがんばってもらって、存在し続けてほしいなあ、と願っています。

 

 

 

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