体験

普通だったら、何か起こった時に、その心の整理がつかぬまま、文章に書いたりしてはいけない、
と「みず」の高田先生には教わったけど、まあ、時と場合がありまして・・。

今日、福島のATさんから手作りの工芸品が届きました。ほんとうに細かい、気配り、手業が入った            工芸品で私は、プロではない人が作る手作り品としては第一級品だと思ってます。

奥様が布で入れ物を作って華を添えていらっしゃいます。そのセンスも技術も年季が入って
素晴らしいです。その工芸品一式の前回送って頂いた分を、私はミラノ在住のKMさんがミラノの
ご自分の手作り雑貨のお店で開催された「大震災から学んだこと」というイベントに送りました。

イタリアの方には大変評判がよかったそうです。

材料がさほどたくさんは採れない中で、今回作って送って下さった分を、私はもう一度イタリアに
送りたいと考えていました。KMさんが常設でお店に置いてくださると、仰っていたからです。
東京の新宿高島屋でもトレッサ横浜でも販売しましたが、日本での販売はもしかするとイタリアでの
評判に及ばなかったかもしれません。

できたら私はこの工芸品を、フランスでもアメリカでも送って外国の方に見ていただきたいな、と思います。
今日の荷物の中には、それだけではなくATさんが書かれた版画も入っていました。
私が手拭いの図案が欲しいと言っていたので、手拭いの大きさになっています。

図柄は三春の滝桜。紅枝垂れ桜です。それと川を遡る鮭。
テーマは「自然界のすべてのものは、様々な変転をくり返しながらも常に新しく蘇る」という思いです。
とATさんの添え書きがあります。
桜の花びらが舞い落ち大地に帰る。大地の営みは清い流れを生み鮭を育て海へ。海で大きくなった
親たちは再び故郷の河川に上る。河口の大河を桜の樹木になぞらえて・・・。

放射能汚染のまっただ中におられる福島の方が書かれた図案です。海山ネットの仲間と相談して
この版画にこめられた想いを活かす道をみつけたい、と思います。時間はかかりますが。
興味を持たれる方、是非ご連絡ください。

初めて奥様とお話ししました。
「福島は嫌われているんですよ」
ショックな言葉でした。
「福島の物は放射能がついているから、と送り返されます。みんな仮設住宅から帰れませんよ。
テレビなんかではいいところばかり映すけど、実際はそんなもんじゃない。福島は嫌われてますから」
何度おっしゃったことか。

今福島県にお住まいの方に、そんな言葉を言わせてしまうなんて、何がどうなっているんでしょう。
何がいけないんでしょう。政治? 報道のやり方?

今私たちは未曽有の災害を受けただけではなく、未曽有の新しい体験をしているところだと思います。
福島の方たちだけではなく、程度は違っても、私たちも今放射能汚染の最中にあって、その対策に苦慮し
ています。これも体験。しっかり考えてなんとか生き延びなければ、とは思ってますが、何時の日か
私も「宮城は嫌われてますから」という日が来るかもしれない想像すると、ほんとに悲しいことです。

 

 

 

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