何が豊かなことなのか?

10年ちょっと前、オープンして1、2年経った頃の道の駅の出荷組合で、青森の津軽に1泊2日の研修旅行に

行ったことがあります。近隣県の道の駅や直売所を見て廻って組合員の生産力向上をはかり、かつ慰労も兼ねる

という旅です。

都会もので「田舎」に憧れていた私は、津軽と聞いて津軽=りんごの里は、どれほどの美しい農村地帯であろうか

と期待に胸膨らませて参加しました。でもね、行けども行けども目に入るのは小さい町で、バスで自分の町まで

戻った時に、はあー、私が住む集落がこの2日見た中で最も田舎なんだ、と得心しました。

 

ついこの間のように思える「屋根」公演。公演が終わった後の深夜の打ち上げの会で、参加してくれている役者さん

たちによっちゃんが「今度の公演で田舎度一番はどこでした?」と訊ねたら、「種子島を除いてここ」と返ってきて

大笑い。全国26箇所公演で、その中には福岡の朝倉とか大分の日田とか入っているのにやっぱり!

富良野GROUP劇団員にとって初めての公演地、岩出山はダントツトップで田舎の町という印象に違いありません。

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田舎度1番の町でこれだけの大きな公演を成し遂げるというのは、それなりの苦労もあり特徴もあるのですが、

言葉にしようとするとうまくまとまらなかった。

 

田舎度1番ってなんなんだ?

その答えが昨日鳴子温泉のたまごや喫茶店で、オーナーのタケシさんと鳴子温泉長期逗留のお客様N社長と

お話しているときに薄らぼんやりと浮かびあがってきました。N社長は千葉の方で季節のいい時、約1ヶ月東鳴子

温泉に滞在してその期間中、毎日決まった時間に鳴子温泉までウォーキングを楽しまれています。

その他決まった休憩場所でのおしゃべりも。

 

そのおしゃべり最中に私が住む「田舎」の特徴を聞かれて、

農家が多い。というよりほとんど全部農家。それも専業が多い。

「今どき専業?」と聞き返されて、ハタと思い当たりました。そうだ、田舎移住を志して大分、新潟、熊本へと引っ越し

ていった友人たち。そのどこを訪ねても周りは専業農家だらけ、というのはなかったなあ、と。

「専業で食べられるということなの。自給率が高くて豊かということなの。東北はもともとそういう土地なんだから」

タケシさんのその言葉で、はっきりしなかったもやもやが晴れてきた。

 

自給率。大事なことです。自給率が高い。そのとおりで、私の周りの人たちは米、味噌、野菜、食べるに必要な

ものは1年困らないくらいあるのではないかしら。あの大震災の時でさえ、ガソリンには困ったけれど、食べ物には

平気でした。農業を営んでいくためには高価な農業機械の借金を負うことも多いのだけれど、それはまた別の話で。

「豊か」ということの定義を「お金がある」ということに置いてしまうと、この町はそこには当てはまらない。

 

「屋根」公演の時の劇団員食事費用についても、劇団から提示された食事経費は市場で売っている上等の牛肉、

豚肉などの購入に当て、他の部分はお手伝いの農家のお母さんたちからの手持ち、手出しの供出食品で賄いまし

た。由美さんは全員分の米、私はお汁粉と味噌、よっちゃんはせり他野菜、その他各人各様で。

週末蕎麦屋のハガさんが道の駅での販売に凝っている蕎麦プリンを「みんなに食べさせたい」と6キロも持ち込んで

きたのにはびっくりでしたが、蕎麦プリンは大人気でした。

 

田舎度1番は何か?という答えはまだまとまらないけれども、自給率が高くなかったら、「屋根」公演時の各自食品

提供なんてできなかったし、今私が食品スーパーへ行っても買うものがないのは確か。

米はもらい、野菜はもらい、お餅はあげる、の物々交換で日々は賄われること多く、なんとなく、なんとなくですが

お金に目くじらをたてなくとも、お金がある人はあるなりに稼ぎが少ない人は少ないなりに格差なく生きていけるのが

田舎度1番の特徴でもあるような気がします。

物価が高い都会の町で長年消費専門で暮していた私が、いつの間にか3度のご飯は家で作り、その他なんでも

作れるものは自分で作ってしまおうという暮らし方に変貌したのは、そこに材料があり、作る人を身近に見ている

からだと思います。なにせ田舎度1番のこの町の農家のお母さんたちは、作ることにかけてはプロですから。

 

 

四万十の梅原さんが提唱される「ナニガユタカナコトナノカ」の答えもここらへんにあるような気がするのですが、

これから周囲を観察しながら、答えを探しましょう。

大震災以降、海の産物までもらって食べている私は、もしかすると豊か度1番で暮しているかもしれないので。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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