福岡のトモダチから「わかめまだある?」と電話がかかってきた。南三陸のわか
めのことだ。
「あったらあるだけ送って。こっちで売るから」
海の幸に恵まれた福岡で彼女は既に100袋以上の南三陸産わかめを売ってく
れている。ついでにお米も注文してくれた。
中学校以来ウン十年のトモダチ。普段は電話をかけあっておしゃべりするなん
てことは全くない。全くないんだけれど、ここ一番の一大事ということになると必
ず連絡してきて助けてくれる。
震災後しばらくしてから避難者の方々への衣類を送ってくれるようになった。長
年テニス協会に所属しているので、たくさんのテニスウエアやテニスシューズを
送ってくれた。自分の分が終わると、周囲の人に声をかけて、きれいなものだけ
に選別し、一枚一枚ポリ袋に入れて「女性用M 細身、かわいい」などと説明文
をつけてくれていた。どうやってもらってくれたのか真新しいたくさんの靴下、スト
ッキング、新品のエナメルの婦人用の靴がたくさんきた時はさすがに驚いた。
たぶん、どんな時もどこへ行く時も、東北の被災者の方々に何か役に立つもの
はないだろうか、といつもいつも気にかけてくれた結果なんだろう。
みんな義捐金をたくさん送っているから、お金を支援してくださいとは言いにく
い。でもものを買ってもらうことはできる。と彼女は言うが、私はその考えが最も
今、続けてできることではないかと思う。
全国から送っていただいた布で何かを作って売る。送っていただいた糸で何
かを編んで売る。そして新聞バッグを作って売る。一人一人の自立に向かって
小さい商いを続ける。
やさしいトモダチはわかめを売ってくれながら、また3匹の捨てられた子犬を
拾ってきました。どなたか里親になってくださる方はいませんか。