和紙

            女川のNさん、この日曜日の仮設入居を控えて、今日最後の、と言っても避難

     先のこちらでの新聞バッグ作りのお願いをした。電話では何度も話したけれど、

     直接会うのは新聞バッグ作りの講習会以来。昨日お願いしておいたバッグを持っ

     て来てくれた。非常にきれいにできている。私も少しずつ作っているが、こんなふ

     うにきれいにはできない。どうして?

     「新聞は一面と最後の面は使わないほうがよい。伸びているのでずれる」

     「色刷りのところは弱いから使わないほうがよい」

     「大きいバッグの時は寝押しをする」

     「糊は刷毛で混ぜてはダメ。刷毛の目に詰る。のばす時はスプーンなどでかき

      混ぜる。あまりゆるめないほうがよい」

     えーーッ、なんでそんなに詳しいんだろ、と思ったら、Nさんは津波の前、和紙の

     お仕事をしていたそうなのだった。

     まただ。らどん温泉で初めて今は仮設住宅住まいの0さんが作ったエプロンを見

     た時の驚きを思い出す。あまりにも見事な仕上がりなので、「どうしてこんなに

     上手なの」と聞いたら、津波で流された縫製工場で30年も制服を縫っていた方

     が縫ったエプロンと聞いてプロ仕様だと納得がいった。

     菊もそうだ。0さんのご主人が志津川で菊を作っていた方だと知って、5000本の

     菊を購入して菊栽培を教えていただくことにしたのだが、後で志津川の菊の

     会長さんで、東京の市場まで出荷している方だと聞いて冷や汗が出た。

     沿岸部の方だからなんとなく海の仕事ばかりを想像していたが、いろんな仕事の

     熟練の方がおられて、その都度びっくりしたり、出会えた幸運を喜んだり。でも

     こんな方たちが腕を振るう仕事の場がないというのは、なんと勿体ないことだろう

     か、と思う。

     Nさんは仮設住宅に入られても新聞バッグを作ってくださるそうだ。今度綺麗な

     和紙で何かを作ってもらおう。海商店になぜか和紙の商品が出てくるかもしれな  

     い。楽しみだ。

     

     

     

     

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