温泉と新聞バッグ

毎日毎日たくさんのコトが起こって過ぎてゆきます。そのスピードの速いこと。

普通の生活だったらそうではないのだろうけど、ここは被災地という特殊性が故に、やらなければならない

ことも多く、考えなければならないことも多く、ほんとどんどん記録しないと忘れそう。

 

被災地といったって、内陸にいる私たちは家は壊れたけれど無くなっていないし、仕事をする場所もなくして

ません。でも影響がないかというと、たくさんの影響を受けている。

 

10年ほど前、地域共有の畑に植えたブルーベリーが実り始めました。今日千葉の子供に送ったサクランボ

(近所のIさんが10年がかりで作った赤い宝石のようにきれいな甘いサクランボです)も、これから秋にかけ

て熟していく夏ハゼも、食べごろになり始めたブルーベリーも全て実なりのものは、放射能検査を受けなけ

ればなりません。ワラビやコゴミなどの特定の山菜の天然のものは、この先何十年待ったら食べられるのか

わからない。

今この近辺の里山は採らないワラビやコゴミ、タラノメなどの山菜が山ほど育っていると思いますよ。

山を宅地化した我が家の敷地は元々がワラビ山だったようで、住んで10年経ったらワラビだらけ、土筆だら

け、たらの木だらけの山返りの途上のようで、バラも芝生もあきらめました。

でもいくらあったって食べるわけにも売るわけにもいかないのです。放射能検査を通過しなければ。

 

というようなことを言うと、野菜もそうか、と誤解されたら困るんだけど、野菜はそうではありません。

検査をした結果大丈夫なんです。不思議だね。

福島のだってそうですよ。しっかり検査されているから大丈夫なの。

 

この夏から温泉で新聞バッグという企画があり、仙台の奥座敷、秋保温泉の旅館岩沼屋さんに打ち合わせ

のために伺いました。鳴子温泉の近くに住んでいるので、秋保温泉は他の用事で行くだけで旅館に

泊まったことはないのですが、岩沼屋さんは落ち着いたクラシックな雰囲気の素敵な旅館でした。

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広いロビー、大きな書棚、窓近くに置かれたグランドピアノ、アップライトピアノ、そしてハープ。

ここではどういうことが行われているのかなあ、と想像が膨らみます。もしかして音楽のコンサート?

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ここで新聞バッグ作りと、温泉と美味しい食事と、香り高いコーヒーと、お庭の散策と、お土産とが楽しめる

1日コースの企画を立てる打ち合わせをしたのですが、とても楽しかった。お客様がどんなふうに喜んで

くださるかと想像しながら、ああでもないこうでもないとアイデアを出す作業がこんなに楽しいものだとは

知りませんでした。

 

この旅館には「おかみの畑」という畑があり、この日の収穫野菜を知らせる看板がロビーにありました。

取り立て新鮮なおかみの畑の野菜を使ったお料理が出されるのでしょうね。

そしてこれから大きくなって花を咲かせるだろうハーブ畑の散策も楽しそう。

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おかみの畑の写真を撮るよっちゃん。広くて楽しみの多いお庭です。奥にはおいしくて人気抜群のピザ屋

さんもありましたよ。

 

戻って周りのおばさん友人たちに「行ってきたよ」と伝えたら、口々に「行く、行く、行くー!」

 

東京の友人たちは旅行に、今の暮らしの友人たちは、畑や田んぼやご飯作りなどの日常の生活から

離れた時間を楽しむために、「行く、行く、行くー!」なのだと思います。

遠く離れたふるさと福岡や長く暮らした首都圏から友人たちが来るたびに、まず被災が大きかった

沿岸部へ案内して、南三陸さんさん商店街で食事と買い物をしてもらうと、後行くところがなくて

どこに行こう、と思ったものでしたが、これでまた楽しんでもらうところができました。

 

温泉×新聞バッグ。ちょっと珍しい組み合わせ。温泉がその企画を受けてくれる柔軟さがまた

面白いなあ、と思ってます。

 

 

 

 

 

 

 

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