台風一過。
いつものことですが、宮城県、県北の山の中のここはたいしたことなく、台風は行ってしまいました。
全部の学校が休校になるというので、そんなにひどいのだったら、お餅を作っても仕方がない、と
思って、お餅仕事はやめました。
ひょっこりできた手持無沙汰な一日。
片付けものをしたり、おでんを煮たり、急に思いついて美容院に行ったり。もともとくせ毛なのに数年
ぶりにパーマをかけてみたり。
そんな1日でしたが、大変嬉しいことがありました。
筑波の農村生活研究会でお会いし、帰りの電車で東京までご一緒した昭和女子大学、名誉教授の 天野寛子先生から、先生が「送ります」と仰ったとおりに、『繋ぐ』という、先生がご自身で縫われた 東日本大震災を起こったことを刺繍で描いた、フリー刺繍の画集を送ってくださったのです。
なんと言い表したらいいのか、鮮やかではないのだけれど、抑えた美しい色で縫われた大津波の
刺繍、爆発し建屋が壊れた福島第1原発の刺繍。役所の風景。石巻の空で泳ぐこいのぼり。
どのページにも天野先生の言葉が、日本語と英語で併記されています。世界に通用する刺繍の画集
です。
見たことがある人は少ないでしょう。写真で見ていただきたいけど、私はカメラを筑波に忘れてきて
しまいました。お見せできないのがとても残念です。
実に美しいこの刺繍画集は、その美しさも暖かい優しさも、先生ご自身から紡ぎ出された言葉で彩ら
れています。こういう方がいらっしゃるとは、そしてたまたまの偶然で出会えるとは、筑波に出かけた
ことが神様からの贈りもののように思えます。
最初に画集を開いた時に、常にこらえている涙が止まりませんでした。
毎日毎日、新聞にでもテレビにでも手を合わせ、「助けてください、助けてください」と涙していた日々が
昨日のことのように甦りました。
東北大震災は、東北に住まう私にとっては風化どころではなく、今も現実の日々そのままです。
この刺繍画集は、そのことを報道の写真ではなく、柔らかく美しい刺繍で「ゆっくり、ゆっくり進めばよい」
と教えてくれます。
天野先生。素晴らしい刺繍画集をお送りくださって、ありがとうございました。
たくさんの人に見てほしい、と思うので、図書館勤めの嫁さんにも伝えようと思います。
私たちの町は台風の被害には合いませんでしたが、伊豆大島ではたくさんの方々に被害が出ている
ようです。行方が分らない方々のご無事をお祈り致します。
昨年 神戸で作品展を見せていただき次回、関西方面で開催されます時には是非 お知らせいただきたいとお願いいたしましたら、3月に京都で開催予定があるのでお知らせします。と言っていただいたのでお待ちしています。