ある出会いの物語

いつだったか忘れてしまったけれど、2、3年ほど前のことです。
千葉在住の方から、ある日「お花がほしい」と連絡がありました。茶花だったか菊だったか
そんな花だったと思います。古い話でもう詳細は忘れてしまっているのですが、たぶんその
お花が町に出回らない時期で、でも必要で、以前道の駅に来られたお客様が花屋の
私の名を覚えておられてお電話を下さったのだと思います。

そのお花は用意してお送りしました。でも代金の請求をしませんでした。丁度お盆だか
なんだかの忙しい時期で、請求書を送ってください、と連絡を頂いてものびのびになり、
とうとう業を煮やされたか、現金封筒でお客様の判断での代金を頂戴したように覚えています。

申し訳ないことをしてしまったのですが、その件はそれで終わりました。

ところが昨年の大震災後、そのお客様、Tさんから震災のお見舞いのお言葉とともに、何かできる
ことはありませんか、とのお手紙をいただきました。ちょっとしたご縁しかないのに、ご親切に
声をかけていただいて、有難かったのですが、即刻お願いすることがないので、お礼のお手紙
を差し上げました。そしてその後はTさんとお話しすることはありませんでした。

それから9か月後の昨年12月、突然大きな立派な鉢花が送られてきました。送り主はTさんでした。
千葉大学にいるのでお花を送ることができます、という言葉が添えられてました。お若い方では
なかったように思うので、なぜ千葉大学なんだろう、と不思議に思いながら、こちらからうちの
お餅やチョコレートなどお送りしました。その後またお礼の手紙をいただきました。

別の話で、私は手拭いを作りたいと思っています。誰かいいデザイン考えてくれないかしら、
と思った時に、ふと大学生はどうだろう、と思いつきました。善は急げ。他には大学生の関連
など思いつかないのでTさんに手拭いのデザインをお願いできる学生さんをご紹介願えませんか、
とお願いしてみました。

そしたらTさんからのご紹介メールと共に「デザインしてみます」という連絡が来たんですねえ。
手拭い大好き。園芸学部、昆虫学、カメムシの研究をしています、という女子大生から。
カメムシですよ!カメムシ!私たち田舎で農業をやる人間にとっては迷惑千万な嫌われ者の
くさーいカメムシ。そのカメムシを彼女はかわいい、と言うんです。どんなにかわいいか今度
教えてくれるんだそうです。メールのやりとりをしているうちに私はさっぱりとした彼女を
好きになりました。

また別の話で海山ネットでは2月の終わりから東京のデパートで新聞バッグその他の販売
予定が入ってます。品物は送れるけど売り子さんの確保が難しい。それでカメムシ大好き女子
さんにボランティア兼アルバイトでのお手伝いをお願いしてみました。
春休みに入るので、できるだけ手伝います、という返事。学業で被災地支援には行けなかったけれど、
何か役に立ちたいと思っている若者はたくさんいる、とのことでした。

手伝ってくれる、ということも嬉しいけれど、それと同時に若者が少ないこの土地と首都圏の若者が
こんな形で縁を繋げることがもっと嬉しい。貧乏なネットワークでバイト料はたくさん出せないけれど、
ここには生き物もムシもいっぱいいるよ。温泉もある。みんなで遊びに来てね、と言ったら「行きまーす」
と言ってくれました。
今度の新聞バッグ販売は、今は漁港で仕事に就いたサオちゃんも行けると言っているし、南相馬
のKさんも日帰りでなら行ける。それに関東圏の若者たちが加わってくれればどんなにか楽しい活力の
ある東北物産市になるんだかと楽しみです。

始まりは「お花はありませんか」とのお電話をいただいたTさんとのちょっとしたご縁。
それがこんなふうに繋がるなんて神様が仕組んでくれた出会いのようにも思えます。

 

 

ある出会いの物語” への1件のコメント

  1. いるんですよー。私もびっくりでした。昆虫学と言われた時もびっくりしたけど、カメムシと
    聞いてもっとびっくり! はきはきして、ユーモアがあって、メールを読んでると、いやあ、
    こういう若者たちがいるんだ。うれしいね!という気持ちになります。
    夏休みなど、遊びにきてほしいなあ、ほんと!栗駒山に連れて行きたい。

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