キャンベル教授と一緒に読もう

     東京大学教授ロバート・キャンベル先生と一緒に本を読む、という場「ホッとスプリ

     ング読書倶楽部」に参加してきました。対象は鳴子温泉郷で避難生活を送ってお

     られる方々ですが、避難者ではない私も混ぜていただきました。隣町古川から来

     た方、旅の途中の鳴子の駅で「読もう」という案内を見て飛び入り参加の方、仮設

     住宅に当たってしまいました、と鳴子から1時間ほどの内陸部佐沼の仮設住宅

     に入られる方、原発から25キロ圏の南相馬から子供さんと一緒に避難されてい

     る方など、ふだんなら一緒に本を読むなんてあり得ないような参加者たちが、

     キャンベル先生が選ばれた短編小説を読み、先生のお話を聞きながら感じた

     ことを語り合うという読書倶楽部でした。日本にはあまりないけどアメリカでは

     このようなBOOKCLUBが発達しているそうです。

     予備知識もなく参加したのですが、先生がご自分で本を選ばれ、新幹線に乗っ

     て、1時間に1本しか走らない陸羽東線に乗って、鳴子まで来てくださっているこ

     とがお話しているうちにわかりました。一日に3回、中学生向けの読書倶楽部、

     次に避難者の方、一般の方との放談、その後に1時間半の大人向けの読書

     倶楽部ですから、先生にとってはかなりのハードスケジュールだと思います。

     今回取り上げられたのは幸田文の「台所の音」。きれいで清潔な装丁のポプラ

     社の百年文庫の1冊でした。頂けるというので驚きましたが、これはポプラ社よ

     りのご支援ということでした。

     そして先生の柔らかい語り口でのお話を聴きながら読む「台所の音」は昔若い

     時分に読んだ幸田文とは全く違う、言葉のひとつひとつ音のひとつひとつが

     身体の中まで沁みこむような小説でした。とても面白かった。次は川口松太郎

     の「深川の鈴」その次は高浜虚子の「斑鳩物語」。武者ぶるいが出そうです。

     お隣の席の若い女性は鳴子まで集めた2000冊の本を運んできた、ということ

     でした。ほんとうにいろいろな形でも支え方があるものだと、感心しました。

     今私は被災はしたけれど、人々の大きな善意の中で生きている、と実感させら

     れます。

     最後に先生に海の手山の手ネットワークの活動の中心に置いている言葉を

     お願いして翻訳していただきました。

     NO ECONOMIC RECOVERY IN MIYAGI AND TOHOKU, NO REBERTH

     FOR JAPAN.

           THE SEAーSIDE/HILL-SIDE NETWORK MAKES MOST OF BOTH

     SIDES WITH WISDOM AND INNOVATION.

           LET’S BLOOM A BIG FLOWER, A FLOWER OF HOPE!

     キャンベル先生、そして関係者の皆様、ありがとうございました。

                                 山の手S記

     

     

     

     

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