TOさん、ありがとう

今日はちょっとだけ、アメとも言えないアというくらいの雨が降りました。
だから出て来たのかな。近頃めっきり見かけなくなった蛙が出てきて、うちの4歳が喜び勇んで捕まえて
います。なぜか名前がついていて、一番小さな緑色の雨蛙は三郎、中くらいのは二郎、大きい殿様蛙はフロッグ。
一日中三郎が逃げちゃった、二郎がどうした、「早く三郎を逃がしなさい」などと言っているので、知らない人が聞いたらまさか蛙とは思わないよね。

その蛙をお風呂で泳がせるというのが、最も楽しいらしいけど、今日は捕まえてきたトカゲを泳がせるというので
断固として断りました。何かいるんじゃないかと、安心してお風呂に入れません。

 

5年間うちでアルバイトをしてくれていたTOさんが今日「辞める」と挨拶に来ました。
大きなサーティワンアイスの箱持って。
夏の暑い間も水を被りながら汗みどろで花作りを手伝ってくれてたのですが、真剣さが過ぎていつも小走りで
歩く足がひっかかって転び、足は大がかりに擦りむき、手首の骨が折れました。
だから「歩いて!」といつも言っているのに。
朝はべつの仕事、午後からうちというふたつの仕事を大真面目に長いこと続けてきてくたびれたんだね。

 

T0さんがうちに来たのは5年前の9月頃。懇意にしている隣町でフリースクールを開いているTA氏のところから
「草取りをさせてもらえませんか」と訪ねてきてくれたのが最初です。ちょうどそのころそれ以前に2年間くらいを
アルバイトしてくれていたサトウ君が辞めて就職することになっていたので、ちょうど入れ替わりになりました。

 

サトウ君は13年間、TOさんは16年間ひきこもりさんでした。
長年ひきこもっていた、という過去の事実よりも、今外に出て来てうちで草を採ってくれるという彼の心境が嬉しくて
喜んで来てもらうことにしました。

畑は広いんです。(この郷では全然広いうちに入りませんが)。山や斜面を除いても約2000坪、隅から隅まで草取りをしていると、終わる頃には最初に取った草が伸びてます。畑の隅々でしゃがんで黙々と草取りをしている彼の背中を見ていると、最初の頃は胸が詰まるようでした。

時間が経って私たち家族にも馴染んでくれた頃から、花の仕事をやってくれるようになりました。
基本真面目。だから何をするのも一生懸命。一生懸命過ぎて、足元を見忘れるようなことも多々あります。
私たち歳をとった夫婦のことを生活に支障がないようにいつも気にかけてくれてました。地震の時も大雪の時も
いつの間にか様子を見に来てくれているのがわかりました。雪の中にタイヤの跡や足跡が残っているからすぐにわかっちゃう。

こうしていくつもの場面を思い返してみると、彼の心優しさは稀有なのだと感じさせられます。
彼が「辞める」ということを聞いて、ええッ?と驚いた娘が「寂しくなるわー」と感に堪えたように言いましたが、
私も彼の姿が見えない畑はやっぱり寂しい。

 

TOさんがこのブログを見る機会はたぶんないかもしれない。
でも100%ではないので、ここに贈る言葉を書いておきます。

TOさん、5年間もうちに来てくれてありがとう。みんなに優しくしてくれてありがとう。
これからどうするかは自分でも決まってないようだけど、これだけは気をつけて。

今しばらくはTAさんのフリースクールでの仕事を離れないでしょうけれど、離れざるを得ない時、
あなた自身を変えなきゃならない仕事には就かないで。長年ひきこもっていたから持っているモノサシが世間と
違ってしまったとあなたは言っているけど、それは違う。あなたが持っているモノサシがあなた自身なの。
変えなくていいんです。変えようとするとあなたが壊れる。

世の中にはあなたのモノサシを理解する人が必ずいます。その人のところで仕事をしてほしい。
元気になったらまた顔を見せてください。電話するよ。手紙も書くよ。
私は歳をとりましたが、それでももっとお給料が払えるようになったら、声をかけます。

いつもどんな時も一生懸命に緊張してお仕事しているから、疲れて熱が下がらなくなったりするんだね。走らないで歩いて、怪我をしないように、冬熱を出さないように、大事にしてください。

また会いましょう。ほんとにほんとにありがとう。感謝しています。

 

 

 

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