田舎暮らしを支えてくれる人達たちーよっちゃんー

夕方、畑で花切りの真っ最中、近所のユミちゃんが、またその近所のヨッチャンを連れてやってきました。
花が大好きなヨッチャンは、うちの畑の花がどんだけ咲いているか見たいので、ユミちゃんに頼んで車で連れて
きてもらったそうです。

来てすぐ、ヨッチャンは花を見るより先にワサワサに大きくなった夏ミョウガを見つけました。
「なってるかちょっと見てみっから」
うちのミョウガは出ている範囲が広いのです。大きく育って葉がワサワサになってたくさんのミョウガが出てる
と思うけど、毎年採ったことありません。誰も食べないし、採って売るのも面倒だから。

ヨッチャンはそういうのが見逃せないんですね。
筍でも蓬でも採れるものは全てちゃんと採って保存する、というのがヨッチャンの信条のようで、それは自分の
うちのものでも人のうちのものでもミョウガはミョウガで放ってはおけない。

ということで、「見てみっから」が「採ってけっから」になり、ミョウガの叢の中に入って出ているミョウガを全て
採ってくれました。そして「おれは要らない」と置いていったのが、このミョウガです。

放っては置けないので、きれいに洗ってお客様に食べていただくことにして道の駅で販売。
今日は完売しました。
ありがとう、よっちゃん。よっちゃんのおかげでみょうがを無駄にしないで済みました。

蓬が出る時期にも、うちのお餅用のヨモギを摘んでくれます。

よっちゃんはご主人も子供さんも病気で亡くなったので、一人で暮らしています。一人だけれども近所の人
とか親戚の方の協力でたくさんの野菜を作って、梅干しや漬物など漬けます。そしてそれをわけてくれます。
勿論好きな花もたくさん植えていて、家は花に囲まれています。
2、3年前、突然動けなくなる病気になって、心配しましたが見事復帰しました。

退院してくる前も今も同じですが、一人暮らしで運転もできないのだけれど、買い物でも温泉通いでも、
お芝居を見に行ったりすることでも、よっちゃんは不自由がないように見えます。

近所の人たちや親戚の人たちが、何かをする時、どこかへ行く時、よっちゃんを誘って連れて行くからです。
温泉帰りでツルツルの顔で、道の駅でばったり会ったりする時、「なんだ、よっちゃん、私より優雅じゃん」と
言ったりするのですが、こうして一人で暮らしていても病気になっても周囲の人との連携で質素に暮らして
いけるというのが、こういう地方の小さい集落のすごいところだなあ、と都会者の私は感心します。

よっちゃんは人にどこかへ連れて行ってもらうのを、まったく悪びれません。
「連れてけー」と全く普通に言う。そして、周りの人が困っている時には留守番でも農作業の手伝いでも
「やってけっから」と気軽に手伝ってくれます。

うちの場合は、畑に苗を植えてもらったら、50メーターくらいの畑でも全然休まず中腰のまま植えてしまう。
くんたん焼きは素晴らしく上手です。よっちゃんは農業のプロなんだね、と思わせられます。

食べ物は、自分が食べないでも無駄にするのは気持ちよくないです。
今年はよっちゃんのおかげで、夏みょうがを無駄にしないで済みました。

さっき、お礼に畑の花をお墓に飾れるようによっちゃんちに持って行ってきました。
よっちゃんは小さい愛らしいような花はきれいだとは認めません。「ふーん、こんなちっちゃいの、きれいでない」と 言うので、間違って出てきたような大きい花ばかり集めて花束にして置いてきました。
きれいだなーと喜んでいた。

 

 

 

 

 

田舎暮らしを支えてくれる人達たちーよっちゃんー” への2件のコメント

  1. 他人とか自分とかの境がない付き合いができるのは羨ましいことです。自分ができることは人の分までやってあげ、人に頼みたいことは遠慮しないで言ってみる・・・こりゃ税金がかからない良い方法だ~。

    1. 物々交換の真髄です。これにお金がからんで「バイト代をもらう」とか、「払う」なんて余分なものが入ると
      人と人との関係は壊れ、集落も壊れ、人と人が支え合う田舎の価値がなくなってゆきます。

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