嬉しいこと

我が家で園芸の仕事を手伝ってくれているOさん。午前中は介護の仕事をして、午後うちに来て夕方まで種を蒔いたり、ポット上げをしたりの花作りの手伝いをしてくれるようになってもう4年ほどになる。そのOさんがこのところ寒さが厳しくなってからの仕事上がりの時間が遅い。

仕事終了の時間は彼の希望では夕方5時なのだが、このところ、「終わりました」と私に電話をかけてくる時間がは5時半だったり6時だったりする。農家を丸ごと一軒譲ってもらった農場には電気がつく家もあるのだけれど、それでも外は真っ暗で、こんな暗い中で花苗の植え替え仕事をやっているのだろうか。こんな寒さの中で、風邪ひくだろう、と気が気ではない。私が九州人だからか、歳をとっているからか、風が強かったり、みぞれ混じりだったりすると、我慢できなくなって「今日は休んでいいよー」なんて電話して、ほとんどの場合「大丈夫ですよ」と断られる。顔は白くなって、唇だって紫色になりかけているのに。

昨日もそうだった。日もとっぷりと暮れた6時も過ぎ、吹き付ける小雪まじりの風の中に「終わりました」と現れたOさんに「こんな遅くまで一人で仕事しなくていいから。寒いんだからやめてよ。風邪ひいたら困るのよ」と言ったら、Oさんはこれまでにはなかったような屈託ない笑顔で「大丈夫ですよ。俺今安定しているのかな。いくら仕事をしても元気なんですよ」と握りこぶしを振り上げて見せてくれた。

えーッ、なんという嬉しいことを言ってくれるんだろう。いつも「不安定で、いっぱいいっぱい」と言っているのに。

Oさんは我が家に来てくれるまで家に閉じこもって16年、年数を聞いた時、その長さに思わず感心してしまったものだが、やっぱりねえ、やっぱりなかなか世間の風の中では精神の安定ということは難しくて、痛々しかった。

でも凄いじゃないですか。「安定しているのかな」と言ったあとで「もう5年近く仕事しているから世間慣れしてきたのかもしれない」と笑って帰って行った。なんだかほんとに頼もしい! 私は嬉しいです!

 

 

 

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