真山談義

雪は降らないけれど、超寒い1日。

夕方ヤマトへ荷物を送りに行った時の気温はマイナス6度。

木も草も凍てついて、路面はツルツル。

 

午後一時、凍えながら予約していた近所の美容室ヒロさんへ。

髪をやってもらっていたら、私の車を見つけたた由美さんが「いるー?」と現われました。

髪が終わった後、ヒロさんが淹れてくれた暖かいレモンティーを飲みながら3人で真山談義。

「何もかもなくなるね。これからどうなる~??」という話。

 

真山というのは私たちが住む集落のことで、私がここに越してきて15年。

集落の人たちに親切にしてもらって楽しく自由に暮らしてきましたが、ここにきて想像もしなかったような

変化がバタバタと起こってきました・。

まずこのところ急激にスピードアップした感がある人口減少。歳をとって亡くなる、赤ちゃんが生まれない、

必然的に世帯数が減るという自然的人口減少。加えて、人が少なくなったことによって、空き屋が増え、

学校が合併され、農協がなくなり、保育園もなくなるらしい、というスカスカ現象。

ここに住む身としては、急に身辺寂しくなり、「これからどうなるの?」という心許ない心境なのです。

 

実はと言えば、この私も昨年あたりからこの真山にこのまま住み続けようか、それとも少し町中へ引っ越そうか、

など、考え迷いしていました。

もっと歳をとったら運転が厳しくなるだろうし、町の小学校に通うことになる孫にとっては通学に便利だし、

電車で古川に行ける。なにより広い敷地の草刈りや木の枝払いから開放される、などなど理由をつけて。

 

長きに亘る転勤生活で家の売り買いの癖がついていることもあり、生まれて初めて同じ場所に15年も住んで

なにやら腰が落ち着かない気持ちもありで、あれやこれやと考えてるうちに、周囲の状況がどんどん変わり、

最初の頃には全戸に人がいた別荘地の住民は今では我が家と上のNさんと外から通ってみえるSさんのみ。

人がいなくなったうえに周りの施設までなくなってくると、まてよ、と引っ越そうかという気持ちに歯止めが

かかってきました。この状況で新しく住みついた私たちまで離れたら、後から人が来なくなるんじゃない?

 

「そうだよ。さびしいよ。」と由美さん。新しいところに行って今から馴染むの大変だよ、と。

若い頃はさんざんそんな生活をして来たけれど、今から先の残り少ない歳月は、介護が必要になれば由美さん、

ケアマネさんは玲子さん、病気になれば穂波の先生、在宅診療も穂波の先生、そしてこの世にお別れする時

には真昌寺の和尚様と配役も決まっているようなもんで、そんなところは後にも先にもないでしょう。

 

「だろう?」

「んだね!」

というところで引越し話は終了。

 

ならば、ここにいるならば寂しくなる場所だからって、寂しくないようにやっていこうよ。

加工場作る! 牛をもっと飼う! 牛が売れたら奢ってもらう。プレハブ小屋建ててカフェをやる(カフェってなんだ?)!

惣菜作る!ハウス周りに花植えてお客さん呼ぶ。黒田さんちの小さい小屋は喫茶室にする。人のうちの持ち物まで

材料にして盛り上がり、真山談義は終了。

 

 

ほんとうに今の周囲の現状は寂しくなるばかりだけれど、でも私は、贅沢にものが溢れ、人が溢れる都会の

喧騒の中で暮らしていたら、決して知ることはなかっただろう地方都市の農村部の消滅都市に至りかねない道筋を

実感として感じることができてほんとうによかった、と思います。

知らなかったら、他人事だった、と思うとそら恐ろしい。

 

なにより都会の美容室では、こんなふうに客待ち用の椅子に座り込んで、お茶っこ談義するなんてことは難しい。

今日私は言うだけではなくて、中古のプレハブ小屋を探して、と由美さんとヒロさんに頼んでしまったので

「見つかったよ~」と近々言われるかもしれません。心の準備をしなくては。

 

暖かいヒロさん美容室から出たら、シバレますう~~!

今夜の寒さが恐ろしい!

それにしてもこんな日の夜の雪明かりの明るいこと。

「蛍の光、窓の雪」と唄われているけれど、ほんと本が読めるくらい明るいですねえ。」

そう黒田さんのお母さんが驚かれていたけれど、電気消し忘れたかと疑うほど雪の夜は明るいのです。

「雪あかり」とはなんとまあ、素晴らしい言葉じゃないですか!