第2の人生

お正月の3日は岩出山町内にある長澤さんご夫妻をお訪ねしました。

長澤さんご夫妻は昨年の春にこの岩出山に移住してこられた滋賀県の方。

前職はお二人とも先生。奥様は教職の傍らでアロマや薬草を学んでこられた薬草研究家で

いらっしゃるので、薬草が多い鳴子温泉や中山平にはお知り合いが多いようです。

 

ご主人のこれからの夢は「きこり」さんになること。

私も60歳を過ぎて第二の人生を田舎でと、ここ岩出山に来た時には、好きな植物栽培を極めて

ハーブガーデンを開きたい、などと思っていたものですが、花は栽培したけれど、なぜか今は

お餅屋さんに。60歳を過ぎてまさかまさかの大転進。都会のサラリーマンの奥さんで生きてきた

私が、人生の最終盤で毎日お餅を搗くことになろうとは。

 

都会で消費者として暮らしていた時には、店頭で見る品は買う対象のモノとしか見えていません

でした。が、この岩出山に道の駅ができ、そこで生産者になってからはモノはただ買う品物ではなく、

モノの背景が見えるようになりました。そのモノは誰がどんな環境で作ったのか、どんな経路で流通

しているのか、生産ができないとどうなるのか、農業政策、社会の構造、農村人口の現象、等々、

モロモロが見えてきたのは第2の人生をモノを生産する現場で暮らし始めてからです。

これまでの人生の経験に上乗せされるので、いろいろなことが分かって面白い。ああ、そうだったのか、

こうなっていたのかと・・・。

 

長澤氏も木コリさん修行を始めて最初の頃は、慣れない土地、慣れない力仕事で相当お疲れの

様子にも見えましたが、1年近く経った今は、森や木や牛や馬と一緒にいることに慣れて、チェーンソー

で怪我もなさって、実に生き生きと楽しそう。森の仕事は今大変に忙しいのだそうです。

 

アロマをなさる奥様のほうは、町中の自宅でマイクロライブラリーを始められました。お好きな絵本や

本を通りに面した店舗に並べてのミニ図書館。来客には故郷滋賀県の美味しいコーヒーをご馳走して

くださるのです。

 

木こり修行でお忙しいご主人はべつとして、奥様が今年望まれるのは絵本マーケットや一箱古本市

を開催すること。本や絵本を提供するイベントはもしかすると道の駅でできるかもしれません。

私が来た頃のこの岩出山の表看板は学問の町。町の中心にある公民館もスコーレ(学問)ハウス

というので、感心したものでしたが、学問に関する施設等々あるかと期待したけれどなかった。

図書館もなかった。伊達政宗の学問所、有備館だけが光り輝いています。

本に関することをお手伝いするのは大歓迎。

以前から海山文庫を始めましょうよ、と文庫開設を望んでいる黒田さんも喜ぶと思います。

 

第2の人生。職場をリタイアーして田舎で素敵な暮らしをなさる方も多いと思うけれど、長澤夫妻や私の

ように地域と密着して、これまで知らなかった新しい経験に胸躍らせるという人生最終盤の暮らし方も

またあるというもの。

長澤ご夫妻がこの町で、充実した楽しい第2の人生を歩まれることを願っています。