10月2日日曜日。
午前4時に起き、温泉に入って昨夜のほろ酔い気分を振り捨て、今日はそれぞれの中断した仕事に戻ります。
午前8時までに古川の事務所に出勤する黒田さんを盛岡駅に送り、途中、東北道のSAで朝食をとり、
よっちゃん夫妻&上條さんは稲刈りに。上條さんは今日は機械が入らないスマッコ刈り(田んぼの隅っこの
稲を手刈りする))担当だそう。
私は家に戻ってあんころ餅を搗き、道の駅へ出荷。その後は直売所の当番をしながらの新聞整理。
先月まで農協に置かせてもらっていた新聞紙を直売所に引越ししてからの新聞整理なので、山積みの
段ボール箱は整理しても整理してもなかなか片付きません。
9月半ばに、黒田さんが直売所の前の家を購入して引っ越してきました。
直売所まで歩いて来れるようになった引越し片付け中のお母さんが、ひょっこり顔を出してくれて「手伝いますよ」。
申し訳ないと思いつつ、有難いお言葉に甘えて手伝ってもらってずいぶん仕事が捗りました。整理した新聞紙を
折り手さんが待つ南三陸や古川の復興住宅に運びます。
夕方古川まで出て、帰りに岩出山町内に滋賀県から越してきた新しい住民、長澤さん宅へ。
富良野GROUPの新しいお芝居、倉本聡作「走る」に向けての準備期間が始まり、滋賀県大津市の集客協力を
打診されて、滋賀県なら長澤さんだ、とお願いに伺いました。
長澤さんが越して来られたのは今年の春。ご主人、奥様、お二人ともの教職を退職されてからのこの先の
新しい暮らしをこの岩出山で始められる、という選択をされたご夫婦で、森の中の仕事を希望されたご主人は
森の木の伐採のお仕事に、そして薬草研究家の奥様は、石巻のハマナス復興プロジェクトを手伝いながら
アルバイトにお仕事もという生活を始められました。
もうひとつ、奥様の希望は岩出山の町に小さい絵本図書館を作ること。
時折りお宅の前を通る度に、表のガラス扉越しに、少しずつ増えていく絵本を「増えてくなあ」楽しみながら
眺めていたのだけれど、今日行ったら大人の本も増えて、工夫を凝らした本棚に並んでました。
こんなふうになったら、外を通る人も「この店なんだべな」という気持ちになって、絵本図書館にも入る人増える
んじゃないのと思ったら、さにあらず、「高校に勤めることになったのよ」と聞いてびっくり。
え? 学校の先生はもうやらない。これからここでのんびり暮らすんじゃなかったの?
ほんとに人生不思議なもので、私も60歳でここにきて、花を植えてハーブ園をやろうかなあ、と考えたことは
あったけど、まさか仙台市場に行くような花屋になって、そのうえお餅屋になるなんてまさかまさか想像した
こともありませんでした。でもこの15年、生きてる間にそうなっちゃたんだねえ。
長澤さんもたまたまのことで、少し離れた町の高等学校に先生として復帰することになったのだそう。
他所の土地から来た先生だから、この土地の良いところも足りないところもたくさん気づいて、それをこの地
の純粋で素直に育った子供たちに伝えられる良い先生になられることだろう、と思います。
勇気と決断力がなかったら、まったく違う土地に飛び込んで生きよう、とは思えないから。
長澤さん宅に入って行ったら、奥様はセンター試験を受ける高校生に1対1の勉強指導中。
お邪魔をしないように、森の中で木を伐る肉体労働を頑張っておられるご主人とお話してきました。
教職とはまったく畑違いのお仕事なのに、なんだか楽しそう。おまけに少し頼もしくなられたようにも見えます。
新しく選択された人生を生き生きと過ごされている姿は、傍から見ていても嬉しいし安心します。
肝心の集客協力のお願いは、京都や大津の舞台関係のお知り合いを紹介してもらえることになり、こっちも
なんとかなりそうでほっと一安心。
真剣な表情で高校生に向き合う長澤奥さんの姿を見ながら、なんだかわからないけど嬉しいような気持ちに
なって帰って来ました。
なにが嬉しいんだろう。新しい生活を始めた人の足が、徐々に地に着いていくさまを見せてもらえるのが嬉しい。
そんなとこかもしれない。はっきりしないけれども。
家に戻ると、南三陸からの移住者、たかこさんからのサンマが届いていました。
たかこさんの後主人は純粋の漁師さんで、今は北海道でサンマ漁。
東日本大震災からのご縁が続いて、こうして私も北海道のサンマを頂ける幸せ。
こないだ歌津のむっちゃんから頂いたサンマは塩焼きで食べたので、今度は全部3枚におろして今夜のオカズは
蒲焼です。孫が喜ぶわ。