家を見に行く

5年前、海の手山の手を立ち上げた頃にしばらく一緒に活動したKさんが、現在事務局長を務めるNPOが

移住促進事業を始めたことから、退職後の田舎移住者である私は、空き屋とか田舎体験とか移住に関連

するあれこれに時折りお付き合いする機会が出てきました。

 

昨日はmichikoちゃんのマルタ共和国在住時の知り合いである香川さんが東京から見えて、

彼が運営するシェアハウスに関連するボータルサイトの話をうかがいました。名前は聞いたことが

あるけど実態は何も知らなシェアハウス。もう東京などの大都会では当たり前の暮らし方となっていて、

東北では仙台や石巻でもシェアハウスはあるんですよ、と聞いてびっくり!

へえー、そうなんだ。若い人ばかりで住むという認識ではなく、ひとつの家に年配者も若者も居住部分を

シェアして暮らすという暮し方。

おお、80歳くらいを過ぎて仕事ができなくなったらどうしよう。頭がボケてなくても行く先は老人施設くらい

しかないのか、と考えていた私は、自分の人生の最終の一歩手前くらいの居場所をひとつ見つけた

ようで心強くなりました。

 

このサイト、ハウスシェアだけではなく、仕事や暮らし方の体験などというのもあって、なかなか面白い。

しかし、30前の普通の若者がパソコンひとつ持って世界を廻って仕事をする、というようなことができる時代に

なっているんだねえ、今は、と驚いたり感心したり。

 

 

そして今日は以前から庭に咲く藤の花が見事だから「見においで、見においで」と誘ってくれる川渡の

友人宅にお邪魔しました。藤の花を観賞するだけではなく、田舎暮らしのために買った大きな家を80歳

過ぎた今、処分したいので、見たい人を連れてきて、との要望に応えて、見たい人との4人連れで。

自慢するだけあって白と紫色の花房を長く垂らした藤の花の見事なこと!

DSCF2268        住んで20年の藤。  見上げれば首が痛くなるほど高く伸びた朴、マロニエ、夏椿、などの大木。

引っ越してきて間もなくご主人を亡くし、以後一人暮しで年を重ねて、もう自分では家の手入れも庭の手入れも

出来ないから、家を売りたくないけど売りたい、という彼女の気持ちはよくわかる。5年後の私も同じようなもの

だろうから。でも見れば見るほど手入れが行き届いたお庭も家も簡単に手放すには勿体なくて、部外者の私の

ほうが彼女の潔い決断にあれこれといちゃもんつけたくなるのです。願わくば彼女の思いのこもったお庭や家を

大切にしてくださる方との出会いがありますように。

 

帰途、以前から「一人で住んでいる自宅が何かの役に立てれば嬉しいから」と家を見に来るように誘ってくださる

直売所生産者仲間のT子さんのお宅に寄ることにしました。

道の駅からもJRの駅からも歩いて数分の閑静な場所にあるT子さんのお宅は、家までの道は狭いけれど、

行き着いてみれば敷地も家も広くて大きくて、辺りの家々も同様にやたら奥行きが深い。

T子さんは70歳半ば。数ヶ月前に突如家に隣接する敷地に加工場を作り、あれよあれよというスピードで

惣菜の許可をとって道の駅にご飯ものを出荷し始めた気骨のある方です。

機会があって加工場は見せて頂きましたが、家はまだ。

「26畳あるから何かの時に使って」と見せられたお部屋は、お庭に面したお座敷が3つきれいに整えられて

いて、お布団もお膳や食器の用意もある。飲食の許可もとりました、とのこと。

 

それこそ移住を希望して一度町を観てみたい、という方々にとっては安心できる有難い休憩場所です。

T子さんのようなこの町で生まれ育った年配女性の案内や説明があったらさらに親しんでもらえると思う。

何より70歳を超えて生産者を始め、さらにいずれは私はできなくなるから、加工場や家を地域や社会のために

使ってほしい、と言われるその考え方、心意気に敬服します。

 

いいもの見せてもらって楽しい1日でした。

睡蓮が咲いてました。

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