那須トラピスト

那須の修道院にいる友人の体の具合があまりよくない、と聞いて、東京の友だちと二人、修道院を訪ねることにしました。

トラピストを訪ねるときは、普段友人を訪ねるときのように、「こんにちわー」という具合にはゆきません。
前以ってお手紙で訪ねたい日を指定してお願いし、院長様の許可がおりてから始めて訪問できます。

一緒に行くともだちとの待ち合わせは、東北新幹線、新白河駅。友だちは東京から、私は古川から。
新白河からはタクシーで行きます。

県道から一歩トラピスト修道院や聖ヨゼフ修道院がある森の中の道に入ると、そこは町とは別世界のような
深い深い緑の道が続きます。とても静かで修道院を囲む樹木はよく手入れされ、ブッシュには山ユリが咲き乱れていました。

ここは厳律シトー会那須の聖母修道院といい、「祈り働け」をモットーに神に自己を捧げた修道尼たちが
沈黙を護りながらシンプルな生活を送っておられます。

昨年にも一度訪ねたので、友人と会うのは1年ぶりくらい。
どんなふうに具合がよくないのかと、とても心配でしたが、にこやかに現われた友人、グリーリ栄子さんは
少し細くなられたけれど、治療が終わって想像していたよりうんと元気でした。よかったーーあ、ほんとによかった。安心した。

一度軽い脳梗塞にもなりかけたけれど、すぐに周りの修道尼さんが気がついて病院に運ばれ、治療をして
今はなんともないとのこと。今の病気もそう。栄子さん、運の強い人です。

早寝、早起き、修道院の農園で採れた食材を食べて、1日に何度も行われるミサで祈って、トラピストの特産のお菓子であるガレットを作るお仕事をして、私たちよりもうんと健康的な生活を送っておられるのだもの。来年もまた会えるよね、と喜び合いました。

「金色の翼にのって」の著者、マルセル・グリーリ夫人の栄子さんをご存知の方が多いと思います。
栄子さんはお元気でした。そして修道院におられるけれども、とてもお綺麗でした。しっかりした力のある目も、しっかりしたお話の仕方も健在でした。

また来年も会えることを祈って、ウグイスが囀る深い森の修道院をあとにしました。