人口流出

     余談だけれど、今日のお昼頃家の近くの県道を車で走っていたら、突然

     左側の藪から大きなカモシカが転げ落ちるように飛び出てきてびっくり。あ

     やうく衝突するところだった。カモシカは奈良などにいる 可愛いバンビのような

     日本鹿ではなく、グレーの毛がふかふかした一見おじいさんのような風貌の

     仔牛のように大きい鹿だ。ぶつかったら多分私も無事では済まない。カモシカも

     びっくりしたらしくすぐに藪に飛び込んで行ったが、山奥にいるはずのカモシカが

     なぜこんな人里にいるんだろう。

      

       地震で亀裂が入った我が家までの進入路、傾いた作業小屋をなおしてもらう

     ことにした。地震から6か月というより、その前の地震の分も入っているから、なお

     してもまた地震が来るのではないかとなかなか決心がつかなかったのだった。

     前の地震というのは震度7で栗駒山の一部が崩れ落ちて無くなった岩手宮城

     内陸地震のことで、前のと今度の地震で我が家の陶器の食器類はほぼ9割方

     割れた。今も無いままだが買おうという気持ちにならない。何にも買いたくないが

     発電機だけは欲しい。

       私がこの地に住んで10年。その間に震度6、7クラスの地震が4回起こって

     る。震度4とか5というのは数しれない。本当に地震が多いところだなあと感心す

     るが、家は今のところ壊れず保っている。

     家があるから、地震が何度来ても住み続けているが、家が壊れたらどうするんだ

     ろう。また建てても借りて住んでもまた壊れるのはつらいから、どこかへ移るかも

     しれない。家が壊れた人がみんな出て行ったらこの町はなくなる。

     「復興は人口流出との闘いだ」

     新聞で読んだ言葉でそんなことを考えた。