妄想から前進へ

             市川コルトンプラザ出店時に来てくれた元陶芸を習っていた先生から、今不在

      中の別荘をお借りできることになった。我が家から車で3分。ここでの暮らしは

      どこへ行くのも車、隣の家でも車というところなので、よっちゃんなんばんからは

      10分、梅農場からも同様なので、みんな大喜びで使わせていただくことにした。

      広ーい、築100年の古民家。ひとかかえもあるような梁、柱がある大きな倉庫。

      今はお留守だから草ぼうぼうだが、立派な柿の木が2本、竹林もある。

      何より広いので、これまで各自で預かっていた日本中の皆様から送られてきた

      布地や、三陸しいたけ、新聞バッグなどをまとめて置けるのがありがたい。

       さっそくオープン記念ミーティングを開く。4人顔を寄せてみると、この先身体が

      もうひとつ欲しいような過密スケジュールで復興販売プロジェクトが詰っている。

      本当にありがたいことだ。

      今全国的にもそうだが、特に東北の状況は厳しい。先日、道の駅の放射能

      勉強会で講師の取締役が「税収がないうえに借金返済と弱者救済のお金が膨

      らむばかりで通常の予算が立てられない」と仰っていたが、周囲の状況を見回し

      てみると本当にその通りだと思う。行政頼みでは何も動かないし、大きなお金

      が動く商売はできそうにもない。まず小さく自分たちでできるかたちの商売で

      小さな経済復興を、をいうのが私たちumiyamanetの基本の考えだから、過密は

      過密なりに工夫してひとつ、またひとつと人の輪、想いの輪を広げる場にして

      ゆきたいと思うのです。

      それにしても商品作りが忙しい。そんな中、今少しばかり仮設に入居する日が

      延びた新聞バッグ作りのエース、さおちゃんから電話がありました。

      「新聞バッグ、大きいのを先に作ります?それとも中ですか?

       すぐに何枚必要ですか?」

      静かで無口なさおりちゃんが自分から頼もしい電話をしてくれてます。

      最初の頃は口を開けば「妄想」だったみんなの考えが、ひとつひとつ形を

      なして、少しづづ前進している気がします。